前回、「それでも上場を目指しますか?」というテーマで、「別に上場することが最終ゴールではないですよ」ということをお伝えしました。

上場して資金調達をすることに意味がある場合か、もしくは上場後に株式を売却し多額のお金を手に入れてセミリタイアしたい場合であれば是非とも上場を目指していただきたいのですが、そうでないのであれば、わざわざ上場を目指さずに非上場企業のままでいたって構わないのです。

さて、非上場企業の大半は社長、すなわち代表取締役が100%その会社の株を持っている株主でもあります。

ということは、その会社をどのように経営するかは社長の自由ということになります。

こういう体制を「ワンマン経営」と言いますが、皆さん「ワンマン経営」と聞いてどんなイメージを持たれるでしょうか?

おそらく多くの人は「社長の独断専行で、人事評価にも好き嫌いが強く反映される。周りにはイエスマンしかいない」みたいなマイナスのイメージを持っているのではないでしょうか?

つまり「ワンマン経営」という言葉に対してネガティブなイメージを持っている人が多いわけですが、必ずしも「ワンマン経営」が悪いわけではありません。

ワンマン経営でもしっかりと業績を伸ばし、職場の人間関係も良好な素晴らしい会社も沢山あります。

ですので、これから起業して会社を設立するという場合には、上場を目指さないのであれば、良いワンマン経営を行い会社を成長させていくことを考えるべきです。

「ワンマン経営」の最大のメリットであり、最大のデメリットにもなりうる点が「社長が全て決定できる」という部分です。

新規事業を始める、大規模な設備投資を行う、大量に採用を行うなどといった重要な経営判断も社長一人で決めることができます。

これが他にも株主が沢山いれば、その株主の意見を聞き、事前のすり合わせを行う必要があります。

ワンマン経営であればそれらの調整をすっ飛ばして社長一人で決めることができるのでスピード感のある経営が可能となります。

その反面、その社長の判断が間違っていた場合、大コケするリスクもあります。

何かうまい儲け話を仕入れて、誰にも相談せずに「これはうまく行くぞ!」とお金を突っ込んだ結果、大失敗に終わり会社が傾くどころかそのまま倒れるなんてことも十分にあり得ます。

そんなリスクを回避するためにも、ワンマン経営体制は取りつつも、社内外に相談できる信頼できる人材を置いておくことが肝心です。

そしてそんな相談相手の一人が我々税理士となります。

我々は顧問料をいただく立場ではありますが、社外の第三者として忌憚のない意見をすることができる存在です。

ビジネスが当たるかどうかというのはアドバイスできるか分かりませんが、事業計画などで数字の部分のサポートはすることができます。

その結果、「このシミュレーションだと失敗する確率が高いです」といったアドバイスはすることができます。

時には自分が求めているのと異なる耳の痛いアドバイスをすることもあるかもしれませんが、やはりあえてそのような意見にも向き合うことのできる経営者が成功できるのではないかと思います。

ここで「俺に否定的な意見を言う奴は必要ない!」と遠ざけてしまったらまさに「裸の王様」になってしまいますからね。

ということで、上場を目指さないのであれば、ぜひとも「周りの意見をしっかりと聞きつつも独断でどんどん決めて実行していくワンマン経営」を目指していきましょう。