たまに中小企業の社長さんで「将来の夢は上場です!」とおっしゃる方がいます。

それ、本当にあなたの夢ですか?

それ、本当に目指しますか?

なんでこんなことを言うのかというと、どうも「会社を設立したら最終ゴールは上場することだ」と思っている経営者が一定数いらっしゃるようだからです。

しかし、上場するということは単なる選択肢の一つであり、別に最終ゴールでもなんでもありません。

株式を上場するということは、それによって広く市場から資金調達できるようになることを意味します。

例えばそれによって巨額の設備投資をしたり、店舗を多く出す必要があるのであれば有効なことでしょう。

ただし、上場するということは株主がたくさん増えるということを意味します。

中小企業の多くは社長イコール100%株主となっており、良くも悪くもワンマン経営ができます。

これが上場企業になると、株主がたくさんおり、「この事業は儲かっていないからやめろ」とか「内部留保してないで配当に回せ」とか色々と言ってくるようになります。

最近は「物言う株主」という言葉をよく聞くようになりましたが、株主はお金も出すけど口も出すという存在なのです。

東芝が「会社を3分割する」と言ったり「やっぱり2分割にする」と言ったり右往左往しているのもまさに物言う株主の影響です。

それだけ上場すると株主の影響が大きくなり、創業社長といえども自分の好きなようには経営できなくなるのです。

もしかするとそういうことをあまり深く考えずに「将来の夢は上場です!」とおっしゃっている方も多いのではないでしょうか。

だとすると、失礼ながら「何か分からないけど、上場すればかっこいい」という安易な考えから来るものかもしれません。

私自身、上場支援をしたことがないので詳しくは分かりませんが、上場するには様々な厳しい要件がありそれらをクリアするために時間もお金もかかります。

それだけ大変な思いをしてようやく上場できたのに、「あれ、思っていたのと違う。上場なんてしなけりゃよかった!」となっても後の祭りです。

頂上を目指して険しい山道を一生懸命登っていたのに、いざ頂上についてみたらそもそも違う山だったなんてシャレにならないではありませんか。

私が学んでいるアチーブメント社は財務体質は素晴らしく、優秀な社員が揃っており、事業も確実に成長している超優良企業ですが、でも青木代表は「別に上場を目指していない」とおっしゃっています。

おそらく上場することが社員にとっても我々お客にとっても意義のあることだと判断されれば、すぐにでも上場できると思いますが、そうではないので上場を目指していないということなのだと思います。

別に上場すること自体を否定するわけではないので、そこは誤解して欲しくないのですが、ただ上場すること自体を目標にするのは危険です。

自分の会社を将来どのようにしていきたいのか、そのために上場という手段を取ることが最善なのかどうか、そんな観点で考えて欲しいと思います。