以前に、メガネスーパーをV字回復させた現社長・星崎さんの講演のことを記事にしました。(「メガネスーパーをV字回復させた社長の教え」

星崎さんが「社内憲法第一条」に掲げたのが「利益」です。

もうとにかく社長就任時6年連続赤字だったわけですから、「赤字はダメ!絶対に利益にこだわる!」という強い気持ちで経営され、社員にも徹底し、赤字体質、赤字マインドを変えていったわけです。

そうやって徹底的に利益にこだわった結果業績をV字回復させることができたのですが、さて、「利益にこだわる」のと「利益至上主義」はどう違うのでしょうか?

「利益至上主義」はWikipediaによると「己の利益・収益(金を稼ぐこと)を至上のものと位置付け、それを追求する主義・思想」と定義されています。

至上とあるぐらいですから利益が一番大事という考えですね。

ということは「利益至上主義」と「利益にこだわる」は同義語のように思えるかもしれませんが、Wikipediaではこう続いています。

”しかし、近年は他の何よりも「己の利益を優先し、周囲(市場や地域、従業員など)への悪影響を省みずモラルに反した行為」や「違法行為を行ってでも利益追求を優先する」など、度を逸脱した利益追求姿勢を批判する意味合いで、この言葉が用いられる。”

これを地で行き、最近問題となっているのが賃貸アパート大手のレオパレス21による施工不良問題です。

入居者の安全よりも施工効率や利益を優先し、基準に適合しない建築部材を使ったり、建築基準法に違反した構造のアパートを建てていたことが発覚し、世間を騒がせています。

改修工事のため入居者約1万5千人に転居を促しているという話ですが、入居者にしてみたらいい迷惑です。

さらにいい迷惑なのが物件を所有するオーナーです。

今回の件でレオパレス21の評判はがた落ち。今後の入居率は確実に下がってしまうことでしょう。

営業マンを信じ、会社を信じて建てたのに、大きな裏切り行為と言えます。

『ガイアの夜明け』では過去に何度も取材していましたが、その際にはオーナーがどんなに訴えてもまともに取り合わずに適当にあしらう姿が映されていました。

そして現場の社員さんです。

『ガイアの夜明け』では仮に施工不良があったとしてもそれは現場の人間が独断でやったことで経営陣は知らなかったと回答していましたが、むしろ逆で多くの現場の社員さんはそんな不正行為が行われているとは露知らず、会社のため、オーナーさんのために働いていたはずです。

そんな社員さんがもしかすると現在現場で入居者やオーナーから厳しい叱責を受けているかもしれません。

さらに、会社の経営が厳しくなればリストラや最悪の場合倒産してしまうかもしれません。

そうなると多くの社員やその家族が路頭に迷うことになります。

ということで、利益にこだわることは非常に大切ですが、利益が一番、利益のためなら違法行為も厭わないという利益至上主義を取ってしまうと、多くの人に迷惑をかけてしまうのです。

ボランティア活動ではなくビジネスをしている以上、利益にこだわることはマスト。でも、利益を目的とすると会社はおかしなことになってしまいます。