先日「北海道ニューフロンティア経営セミナー」に参加してきました。
毎年著名な講師のお話しを聴ける貴重なセミナーで、今年は元宮崎県知事の東国原英夫さんやタレントのケント・ギルバートさんが登壇されました。
東国原さんもケント・ギルバートさんも普段からテレビに出て活躍されているだけあって話が面白く、色々な学びがあったのですが、今回は唯一の経営者であるメガネスーパー社長・星崎さんのお話しを聴いての気付き・学びについてシェアしたいと思います。
星崎さんは大学卒業後三井物産に入社し、主に繊維事業やファッション事業に携わった後、ビジネススクールに留学。
その後はスノーボード用品ブランド「バートン」の日本法人の経営者などを経験してきたいわゆる「プロ経営者」です。
そんな星崎さんが2013年にメガネスーパーの社長に就任して作った「メガネスーパー憲法」の第一条に定めたのが「利益」。
・・・と聞くと利益至上主義者のように思えるかもしれませんが、さにあらず。
メガネスーパーはかつては眼鏡業界の「御三家」と呼ばれる存在でしたが、価格破壊を行う新興勢力の勢いに押され、社長に就任したときには「債務超過による二度の上場廃止危機」「6年連続赤字」という危機的状況でした。
社長に就任し、社員に話を聞くとこんなことを言われたそうです。
「社長、私たちはもう6年もボーナスをもらっていないですし、給与も据え置きのままなんです!なんとかしてください!」
そこで星崎さんはこう一喝します。
「馬鹿を言うな!赤字でボーナスを貰えないのは当たり前。権利を主張する前にまずは会社が利益を出すために自分たちが何をしたらいいのかをよく考えろ!」
星崎さんは何も社員は会社が利益を出すための道具・歯車とか、会社が利益を出したら自分の役員報酬をたんまりもらおうという発想でこのようなことを言ったわけではなく、「社員の給料は会社の利益の中から支払われている。だから利益は絶対」というごく真っ当な原理原則に基づかれています。
社長就任時、メガネスーパーは業界の流行りに乗り、何の勝算もないままに「スリープライス」や「レンズゼロ円」などを導入していましたが、それによって赤字体質になっていました。
「こんなことをやっていたら利益なんか出ない!」と廃止しようとしますが、社内から「ライバルがみんなやっている中でうちだけ止めたら客が来なくなる!」と反対の声があがります。
しかし、低価格で勝負しても勝ち目はないし、そもそもメガネというのは人体にとって非常に重要なもので、やっつけの検査や安く質の悪いレンズを提供することが果たしてお客様のためになるのだろうか?
そんないわゆる経営理念に立ち戻り、他から見れば決して安くはない料金で、でもお客様のアイケアのサポート役として寄り添う存在になろうと改革の舵を切ったことによって奇跡のV字回復を成し遂げます。
その中で社員の意識改革も行っていきますが、だからと言って残業で自分を犠牲にして会社に貢献しろというスタンスではなく、「生産性を高めて残業しなくとも利益がでるようにするにはどうしたら良いのか?」を徹底されたそうです。
現在では黒字化したことで社員教育に投資することができ、それによって顧客満足度が高まり、売上が増え、利益が出るのでまた投資をすることができ・・・という好循環に入っているそうです。
利益は目的ではありませんが、このように事業を継続させていくためには無くてはならない存在です。
ライバルの動きに惑わされず、利益への強いこだわりを持ち、PDCAを徹底的に回していく。
と聞くと当たり前のことのように思えるかもしれませんが、結局はこういう当たり前のことをブレずにやり抜けるかどうかということなんですね。