1月31日放送の情熱大陸でとんねるずの石橋貴明さん(貴さん)が取り上げられました。
我々世代は「ねるとん紅鯨団」「とんねるずのみなさんのおかげです」「とんねるずの生でダラダラいかせて」などのバラエティ番組を観て育ったと言っても過言ではないぐらいの圧倒的な存在です。
しかし、冠番組である「とんねるずのみなさんのおかげでした」が2018年に終了し、とんねるずとしてのレギュラー番組はなくなってしまいました。
”オワコン”と揶揄する声もあり、本人も「とんねるずは死にました」と発言されるなど、なにか一つの時代が終わりを迎えるような、寂しい気持ちになっていたのですが…。
それが昨年YouTuberとなり、「貴ちゃんねるず」を配信すると、瞬く間に登録者数が100万人を突破。
活躍の舞台をテレビからネットの世界にシフトし、最近では外を歩いていると全盛期を知らない若者から声をかけられる機会が増えたそうです。
そんな貴さんですが、芸能界デビューしてからは休むことすらも不安で、常に全力疾走の日々が続きました。
だからこそ番組の後半に語った言葉が心に響きます。
「働き方改革だとか言ってテレビのスタッフも8時間以上働かない。
ADから先に帰す。
それは今の社会の流れでしようがないのかもしれないけど、
人より早くディレクターになりたいとか、
お寿司屋さんの若手だったら人より早く店を持ちたいとか、
人より早くたくさん稼ぎたいって人間は、
じゃあ、いつ仕事を覚えるんだって。
やんなきゃダメなんですよ。
つべこべ言わずにやんなきゃダメなんですよ。
つべこべ言ってるうちはしようがないです。」
労働時間については、私も度々取り上げてきました。
昨年には勝間和代さんの著書『勝間式ネオ・ライフハック100』を取り上げ、「8時間労働が適切なのか考えてみる」というタイトルで、「もっと短い労働時間でもいいのでは?」と問題提起させていただきました(コチラ)。
このことと、貴さんの発言は相反するものでしょうか?
私はそうは思いません。
8時間労働ありきで物事を考えるのではなく、7時間労働や6時間労働で8時間労働と同じ生産性があるのであれば、短い労働時間の方がハッピーじゃない?という話です。
ただ、生産性を高めるためにはその基礎となるスキルが必要です。
スキル不足、知識不足では、どれだけ効率化を図ってもなかなか仕事の質を上げられません。
残業しないで早く終わったけど質が悪い、では意味がないのです。
では、そういったスキルを高めるにはどうしたらいいかと言われたらやはり量稽古となります。
数多く仕事をこなすことで身体で覚えていく。
昔は先輩が手取り足取り教えてくれず「見て覚えろ」の世界でしたが、そこは今の時代、きちんと教育制度を設けるとして、でも教育というインプットだけでなく、実際に手を動かすというアウトプットの時間が必要です。
そう考えると貴さんが言うように、早く出世したい人や、早く独立して自分の店を持ちたい人、早くお金を稼ぎたい人にとっての「8時間労働が適切なのか考えてみる」というのは8時間以上、それこそ10時間でも12時間でも働くという「もっと長い労働時間でもいいのでは?」という意味に変わってきます。
しかし、労働基準法の改正により残業時間の上限が設けられましたので、そんな風に「自分は1日12時間労働で早く仕事を覚えたいです!」とやる気があってもNGということになってしまいました。
この辺や良し悪しですよね。
新人の場合は早く仕事を覚えるためにもう少し残業できる法制度にしてもいいのでは?とも思うのですが、それを逆手にとって重労働をさせるブラック会社も出てくるでしょうからなかなか難しいところです。
新入社員を戦力化するためにも企業としては法令遵守しつつも、限られた勤務時間の中でどれだけ密度の濃い量稽古を行うことができるか創意工夫が求められます。