東洋経済オンラインが5月20日に配信したニュースによるとホンダがテレワークをやめて原則出社に踏み切るとのことです。

ホンダは今年4月、国内営業部門の従業員向けに以下のようなメールを送っています。

「Hondaとして本来目指していた働き方を通じて変革期を勝ち抜くために、『三現主義で物事の本質を考え、更なる進化を生み出すための出社/対面(リアル)を基本にした働き方』にシフトしていきます」

全社が制度の対象で、3回目のワクチン接種が完了する時期を見定めて5月から段階的に始めるとのことです。

ただ、従来の出社を前提とした働き方に戻すことについて、社内では不安の声が上がっています。

ある社員は「働き方改革が進みテレワークの定着も進む中、ホンダは真逆に動くのか」と疑問を投げかけています。

実際、私の知り合いでもコロナになって原則テレワークとなり、むしろ安易に出社しないようにと言われていたぐらいだったのが、やはりコロナが落ち着いてきたことを踏まえて原則出社に戻ったそうです。

ということで、ホンダに限らず、コロナになってテレワークを導入したものの、コロナが落ち着いたタイミングで原則出社に戻す企業は結構多いのではないかと思われます。

まぁしかし、残念なことですね。

ホンダの「三現主義」とは「現場、現実、現物」という創業者である本田宗一郎の時代から受け継がれてきた考えであり、現場を重視しているということはよく分かります。

その一方でテクノロジーの進歩により、場所を問わずにできる仕事も増えました。

もともとコロナ前から国が音頭を取ってテレワークを推進していましたが、そんなに浸透していませんでした。

それが、コロナによって半強制的に急速にテレワークが普及しました。

これによりそれまでの「自宅で仕事なんてできないだろう。やっぱり仕事はオフィスに出社してするものだ」という常識が、ガラッと変わったわけです。

で、コロナが落ち着いても「自宅で仕事をしても支障がないんだからそのままテレワークでやっていこう」という会社と、ホンダや知り合いが勤める会社のように「コロナが終わったらテレワークは終わり。また出社に戻す」という会社に分かれている状況です。

確かに、出社して顔を合わせて仕事をすることでパフォーマンスがあがる業務や作業というものもあると思います。

なので、別に出社することがダメだとは思いません。

ただ、「テレワークか出社か二者択一」という選択肢の無さが問題なのです。

とは言え、私の知り合いが勤める会社では、テレワークをいいことに一部仕事をサボる社員がいたことも原則出社に戻す一因となったそうです。

監視の目がなければサボってしまうということであれば、テレワークはダメと言われても文句は言えません。

これは正解がある話ではありませんが、個人的には会社はテレワークと出社のどちらも認める柔軟な対応を行ない、従業員はテレワークを選択するのであれば出社と変わらないパフォーマンスを発揮できるようきちんと自分を律するという形で、多様性のある働き方改革を推進していけばよいと思います。