5月19日放送のカンブリア宮殿ではカンデオホテルズが取り上げられました。

こちらのホテルは「ビジネスホテルよりも1ランク上のラグジュアリーさで低価格」という、ビジネスホテルとシティホテルの中間を狙った戦略をとっています。

自らを「唯一無二の4つ星ホテル」と謡い、ビジネスマンの出張から、女子会、家族旅行も満足させる、ホテル業界の新興勢力と言えます。

さて、ホテルには3つ星とか5つ星という格付けのようなものがありますが、実は日本では具体的な基準というものがなく、各ホテルが自分で言っているという状態です。

ただ、大体はビジネスホテルは3つ星を謡い、高級ホテルは5つ星を謳っているわけですが、その中間的なポジションのホテルがありませんでした。

そこで、このポジションを攻めれば支持を得られると考え、生み出されたのがカンデオホテルズとなります。

番組では大宮店が取り上げられていましたが、1人1泊5,000円以下で泊まれて、部屋はかなり広めの設計。

そしてベッドは最高級クラスのシモンズ社製。

最上階には全面ガラス張りの露天風呂「天空のスカイスパ」があり、日本旅館のような気分が味わえます。

朝食は別料金となりますが、こだわりの手作り料理を楽しむことができます。

「非日常を味わえるのに価格はリーズナブル」ということで日経ビジネスで2回顧客満足度ランキング1位を獲得しています。

会長兼社長である穂積輝明氏は大学卒業後、あの江副浩正氏がオーナーを務める不動産開発企業「スペースデザイン」に入社します。

そこで「3年以内に辞められない人は三流」と言われ、起業家精神を育みます。

その後3年で退社し、将来の独立を見据えて不動産ファンドに転職、ホテルの開発事業に携わります。

そこで、ホテル市場に可能性を見出し、全国のホテルを見て回るのですが、その中で「ビジネスホテルと高級ホテルの”間”があれば両方の客が来てくれる」との思いに至り、カンデオホテルズを開業。

見立て通り、普段はビジネスホテルを利用する客、逆に普段は高級ホテルを利用する客、両方の客に支持されるホテルとして規模を拡大していくことになるわけです。

これはいわゆる「ニッチ戦略」の成功例として非常に興味深い事例と言えます。

「ニッチ」とは「隙間」という意味ですが、下手するとかなりマニアックなニッチを狙う戦略と勘違いされてしまいます。

もちろんそれでも利益があがるのであれば超ニッチを攻めるというのもアリだと思いますが、しかし理想はこのカンデオホテルズのように3つ星と5つ星の隙間にポジショニングするだけでなく、3つ星と5つ星の客も取り込むスタイルです。

つまり完全に独立したポジショニングということではなく、隣接するポジションからも客を流入させることができるニッチ戦略を取っているという点が素晴らしいと思います。

ただし、隣接するということは下手をするとカンデオホテルズの事例で言えば3つ星ホテルも5つ星ホテルも競合相手になってしまうという危険性があるので、いかにきちんと差別化をするかが大切となります。

ということで、今は多くの業界で高価格帯と低価格帯の二極化が進んでいると思いますが、このカンデオホテルズのように「しっかりとしたサービスを受けられるけど価格はリーズナブル」ということで客の支持を得ることができる隙間が存在すると思います。

あなたの業界でそんな隙間を攻める余地がないかどうか、一度考えてみませんか?