2月20日放送の『がっちりマンデー!!』は「儲かる法則」特集でした。

ビジネスの現場で使われている儲かる法則がいくつか取り上げられていて、そのうち前回は「ピーク・エンドの法則」について紹介しました。

今回紹介するのは「ロングテールの法則」です。

これは米ホットワイアードの編集長であるクリス・アンダーソンが提唱したもので、「売れ筋の商品だけでなく、販売総数の少ないニッチな商品も数多く取り扱うことで対象の総数を増やし利益を増やす法則」となります。

売上数量の多い順に並べてグラフ化すると尻尾の長い生き物のように見えるということで「ロング(長い)テール(尻尾)の法則」となります。

基本的にはそんなに多く売れない商品については売上よりも在庫コストの方が多くなり赤字となってしまうため取り扱わない・仕入れないというのがセオリーとなります。

しかし、うまく在庫コストをコントロールできれば他の会社が取り扱わない分、お客を独占することができて、「がっちり!」と儲かることができます。

この法則が提唱されたのは比較的近年になってからですが、その背景にはWEBによるマーケティングの普及があります。

そして、この法則を世界一活用しているのがAmazonです。

例えば本で言うとベストセラーの売れ筋の本だけでなく、我々士業の専門書を含めてかなりマニアックな本も取り扱っていたりします。

そういうマニアックな本はせいぜい年に1、2冊売れればいい方だと思うのですが、リアルなお店ではスペースの問題でそのような本を置いておけません。

そうすると唯一取り扱っているAmazonで買うことになるので「がっちり!」というわけです。

さて、番組で紹介されていたのが「トラスコ中山」です。

こちらは様々な工具を仕入れて工場などに販売したり、小売企業に卸売りをしている会社となります。

手袋だけで8000種類以上も扱っているなど、取り扱っているアイテムの数は半端ありません。

それだけに在庫コストも半端ないと思うのですが、中山社長は「ロングテールはテールスープと一緒でテール(尻尾)の部分に旨味が染み込んでいる」とおっしゃいます。

実際トラスコ中山の年商は2293億円ですが、その約4割がマイナー商品の売上となります。

マイナー商品の取り扱いを強化した15年前から比べて売上は約1.8倍と急成長を遂げています。

ということで、皆さんのビジネスにもぜひこの「ロングテールの法則」を取り入れてみませんか?

・・・と言いたいところですが、ちょっと待った!

この「ロングテールの法則」は基本的には強者が活用するものとなります。

トラスコ中山では「メーカー必要としている人がいるという前提で商品を作っているので、新商品は全部置く」というスタンスを取っていますが、それでも中には2年に1度しか売れないような商品もあります。

そんなに商品を扱うと、流石に在庫コストがかなりのものになってしまいます。

そこでトラスコ中山では約150億円を投じてサーバールームを完備し、ニッチ商品が年にどれぐらい売れるのかを計算できるようにしています。

例えば特殊な手袋が年間290双売れると予測しましたが、実際に売れたのが285双ということでかなりの正確性です。

これにより無駄な在庫を持つことなく多くの商品を揃えてがっちりと儲かる仕組みを構築することができました。

で、これを中小零細企業が簡単に真似できるかというと、そうではなさそうですよね?

中小零細企業が取るべきは、「ロングテールの法則」とは逆の「パレートの法則」となります。

これは別名「80:20の法則」と言われるもので、「全体の売上の8割は上位20%の商品が稼いでいる」という法則となります。

つまりロングテールの部分は追わずに売れ筋商品に集中すれば、しっかりと稼ぐことができるというもので、中小零細企業が目指すべきはまずはこのステージとなります。

「パレートの法則」でまずはしっかりと土台を固めて、次の展開として「ロングテールの法則」を選択する。

この順番を間違えると「在庫貧乏」になってしまいますので要注意です。