先日セブン&アイ・ホールディングス(以下セブン&アイ)が、傘下の百貨店事業会社「そごう・西武」を売却するというニュースが報じられました。

百貨店事業の営業損益は2021年2月期が66億円の赤字、2022年2月期が45億円の赤字見通しで、不採算部門を整理してコンビニ事業に専念する形となります。

セブン&アイは2006年にミレニアムリテイリング(現そごう・西武)の株式を取得し傘下に収めました。

セブン&アイはすでにスーパーのイトーヨーカ堂も傘下に収めており、スーパーと百貨店の相乗効果を期待していたのですが、その後もネット通販の拡大などもあり、百貨店の業績は低迷。

このまま持っていてもマイナスにしかならないと判断しての売却ということですが、このニュースが報じられた途端にセブン&アイの株価は一時上場来高値を更新するほど爆上がりしたところをみると投資家の目から見ても「百貨店は儲からない。セブン&アイの判断は正しい」ということなのでしょう。

残念ながら一番化戦略コンサルタント・高田稔先生も常々「もう百貨店のビジネスモデルは厳しい」とおっしゃっています。

百貨店はその名の通り「なんでも揃っている」のがウリです。

30年前、40年前に1つの場所に食品も衣料品も貴金属もレストランもあり、しかも屋上はちょっとした遊園地になっているなんて所は百貨店だけでした。

私は子どもの頃は田舎に住んでいて百貨店が近くに無かったので、あまり親に連れて行ってもらったという記憶はないのですが、おそらく私と同年代で子供の頃に百貨店がある地域に住んでいたという方であれば、家族で百貨店に行ったという思い出があるのではないでしょうか?

ただ、それから時は経ち、色んな専門店ができました。

食品の専門店、衣料品の専門店、食事の専門店、遊園地の専門店などなど。

それらのお店は特化しているだけあり、品質が良いとかコスパが良いとか何らかの特徴を持っています。

そうすると消費者も、「服を買う時は◯◯」「食品を買うときは✗✗」という形で、用途に応じて行くお店を決めるようになります。

そうなると「別に百貨店に行かなくてもいいよね」ということで百貨店離れが進んでいるという状況です。

今私は事務所が札幌市の大通りにあるので割と三越や丸井今井といった百貨店が近くにある環境です。

私も百貨店に行くことがあるのですが、大抵は地下のお菓子売り場、いわゆる「デパ地下」だけで完結します。

贈答用のちょっとしたお菓子を買ったりするのにはデパ地下は便利なんですよね。

でも1階から上の階に行くことはほぼありません。

たまに催事場でイベントがあるときに上の階に行きますがそれぐらいで、百貨店で衣料品などを買ったことはほとんどありません。

やはり今の時代「なんでもあります」は選ばれないということなんだと思います。

そうするとこれからの時代、百貨店はどう生き残っていけば良いのか?

一つの策は「富裕層に特化」です。

現在も業界的に富裕層の満足度を高める施策を打っていますが、もっと極端に富裕層のみをターゲットとする戦略をとるのはいかがでしょうか?

揃えている商品は一流品・高級品のみ。

当然セキュリティの関係上、変な人に入ってもらいたくないので、素性を確認した上での会員制で、入店時にはコンセルジュが付いて買い物をサポート。

そうなると私のような庶民は入れなくなってしまいますが、ここまで明確に差別化すればブランディングになりますし、「自分も金持ちになって会員になりたい!」という憧れの存在にもなります。

今回の「そごう・西武」の売却に関しては投資ファンドなどが動くと見られていますが、残念ながら儲からない百貨店事業には全く興味がなく、不動産価値が高いことから購入後は百貨店を潰して何か別の事業を行う可能性が高いとのことです。

私は特別百貨店に思い入れがあるわけではないのですが、全く無くなってしまうというのも寂しい感じがしますので、自分は入れなくてもいいから富裕層に特化するなどして生き残って欲しいなと感じています。

ということで、マーケティング的にまとめると「『なんでもある』は中途半端。特化して差別化、区別化するべし!」ということになりますか。