7月15日放送の『カンブリア宮殿』ではスープストックトーキョーが取り上げられていました。

東京を中心に全国に65店舗を展開し、年間832万杯ものスープを販売している人気チェーン店です。

残念ながら私は利用したことがないのですが、札幌にも2店舗あり特に女性に人気のお店となります。

1999年に創業。約20年で年商93億円にまで成長しました。

しかし、実は過去にあわや倒産というピンチを経験していました。

2004年7月に東京は記録的な猛暑に見舞われます。

そんな暑さの中、熱いスープは敬遠され、ほとんどのお店が赤字に転落。

どんどん手元のキャッシュが減っていき「このままではまずい!何か突破口はないのか!?」とデータを見直していると、1軒だけ売上を伸ばしている店舗が。

そのお店には掟破りのメニューがあったのです。

それが「カレーライス」。

「カレーのスープ」はありましたが、「カレーライス」はメニューとして存在していませんでした。だってスープ屋さんですからね。

しかしそのお店は本社に内緒でカレーライスを提供し、しかもそれで猛暑の中でも売上を伸ばしていたのです。

そこで社長は「カレーライスをメニューに加えてみないか?」と社内会議にかけるのですが、「うちはスープ屋ですよ!?あり得ない!」という反対の声が。

社長はと言うと実は「うちはスープ屋だ」という想いがあり、カレーライスを積極的に支持する気持ちではなかったのですが、「成功した現場の声に従ってカレーライスで勝負だ!」とゴーサインを出します。

その年の8月にカレーライスをメニューに加えると、これが大当たり。

見事売上を回復させ倒産の危機を乗り越えます。

このエピソード、非常に興味深いと思いませんか?

スープ屋さんでありお店の名前も「スープストックトーキョー」としているのに、スープ以外のものを扱うというのは下手をするとコンセプトをブラすことになりかねません。

常連さんから「あそこはスープ専門店だと思っていたのに何でもありになってしまって魅力がなくなった」とそっぽを向かれるおそれもあります。

それが、本社の許可を取らずに独断でカレーライスを提供するというかなりイレギュラーなことがあり、でもそれを「成功事例」と捉えて横展開することを決断し、実際に上手くいったわけです。

まぁ通常なら社内公募でアイデアを募ってテスト販売し、上手くいったら本採用という流れなのでしょうが、とにかくポイントは「小さな成功」を見逃さなかったことと、「スープ屋なんだからスープ以外のものは絶対に取り扱わない」という固定概念にとらわれなかったことにあるのではないでしょうか。

あなたは固定概念にとらわれて小さな成功を見落としていませんか?