税理士のお仕事シリーズ、今回取り上げるのは「税務調査の立ち会い」です。

これは税理士にしかできない独占業務の中の「税務の代理」の中に含まれるものとなります。

税務調査というのは別に悪いことをしていなくても一定の割合でやってきます。

税務調査が入る、となってやったー!と喜ぶ人は相当な変人です。

普通の人であれば別に悪いことをしていなくても「うわぁ税務調査か、嫌だなぁ・・・」となることでしょう。

特に初めて調査を受けるという人にとっては「何を聞かれるんだろう」「どれぐらい追徴されるのだろう」と不安でいっぱいのはず。

そこで我々の出番です。

税務署の調査官と納税者の間に入り、調査がスムーズかつ適法に行われるように調整します。

一般的に税務調査は過去3年分の申告内容が対象となりますが、調査対象の会社を訪れて3日間程度行われます。

その後、論点を整理し、もしも修正申告が必要であれば申告書を提出し、追徴分を納付して完了となります。

もちろん、修正事項無し、追徴課税無しが理想なのは言うまでもありません。

ただ、税務調査は全て完了するまで非常に時間がかかりますし、その過程で何度となく調査官とやり取りをする必要があります。

これを納税者本人が対応するのはかなり大変ですし、相当なストレスとなります。

なにせ相手は税金を扱う行政側の人間で、しかも基本的には税金を取ろうというスタンスなのです。

そういう人に、税金の素人が下手に対応すると払わなくてもいい税金を払ってしまうことになりかねません。

実際、調査官の中には何の根拠もないのに「これは交際費として認められません」とか「これは重加算税の対象になります」と言ってくる人もいたりするので、そういうときに「それはおかしくありませんか?」ときちんと反論するのも我々の大事な仕事となります。

我々のことを「用心棒」と表現されることもありますが、税務調査に関しては確かにそんな感じですね。

「さぁ税金払ってもらおうか!」「先生、お願いします!」「おう、任せとけ!」みたいな笑。

とは言え、調査官の指摘を全て否定する税理士が「税務調査に強い」ということにはなりません。

時には「まぁ確かにこれは納税者の側に非があるなぁ」ということもあります。

その際には「ここは修正申告に応じるけど、この部分は認めて欲しい」という風にうまいこと落とし所を交渉するという大人の柔軟性も求められます。

ということで、この税務調査の立ち会いというのも我々税理士の腕の見せ所と言えるでしょう。

ちなみに個人事業主の中には普段税理士に依頼せずに自分で確定申告をしているという方も多いと思いますが、不幸にも税務署から税務調査に入りますと連絡が入った場合、税務調査の立ち会いをスポットで税理士に依頼することも可能です。

これは私の事例ではありませんが、最初税理士に依頼せずに自分で調査の対応をしたところ、調査官が「あれもダメ、これもダメ」と無茶苦茶否認してきたので、「これはまずい!」と思い途中から税理士にお願いして対応してもらうようにしたら調査官が一気にトーンダウンして結果として少ない追徴課税で済んだ、というケースもあるそうです。

是非とも我々を用心棒として上手に活用してくださいね。