さて、税理士のお仕事シリーズということで前回までは税務書類の作成・提出について解説しました。

まず税理士の仕事として一番イメージしやすい言わば「キホンのキ」となります。

今回は独占業務の一つである「税務相談」について解説したいと思います。

一口に税務相談と言ってもかなり幅広い範囲となります。

まず基本的には会社や個人事業などの事業を行う中での税金の取り扱いに関する相談対応となります。

「給料を払うときの源泉所得税はどうやって計算すればいいの?」

「給料から天引きした源泉所得税はどうやって納付すればいいの?」

「これは経費で落とせるの?」

「社員にお祝い金をあげたいけどいくらまでなら大丈夫なの?」

「今期どれぐらいの納税額になるの?」

「車を買いたいんだけどどういう取り扱いになるの?」

「税務署から封筒が届いたんだけどこれ何?」

などなど。

それだけでなく、個人で所有している不動産を売却した場合の譲渡所得税のことを相談されたり、贈与税や相続税のことを相談されることもあります。

とにかく「税金に関することはとりあえず顧問税理士に聞け!」ということで法人税、所得税、消費税、相続税など幅広い範囲で相談されるわけですが、ある意味ここが腕の見せ所と言えるでしょう。

求められるのは「正確性」と「スピード」です。

法律の取り扱いが明確なものはパッと回答できるわけですから、いかに即答できるかがポイントとなります。

税理士に対する不満の一つに「質問してもすぐに返ってこない」というものがありますが、これは比較的規模の大きい税理士事務所で税理士でない社員が担当者の場合に問題になることが多いような気がします。

税理士事務所の社員はレベルがバラバラですし、場合によっては非常に経験値が低い人が担当になることもあります。

かくいう私にも新人時代というものがありまして、その時期は即答できることの方が少なく、何か質問されれば「調べてお答えします!」と言っていたものです。

ただ、それでもすぐに調べたり先輩社員に聞いたりして回答するようにすればそんなに不満には繋がらないのではないかと思います。

ただ、中には「調べます!」と言いながら全然調べずにほったらかしにするような人がいるので厄介です。

基本的に我々の業界で仕事をしようと考える人は真面目で几帳面で、聞かれたらすぐに調べてお答えしようと思うような人が多いのですが、稀に結構ちゃらんぽらんな性格な人が紛れ込んでしまいます。

私にはそういう人がどういう思考回路なのか理解できないのですが、調べるのが面倒臭いのか、単純に宿題をもらったことを忘れたのか、とにかくほったらかしにするので、クレームになったり、最悪顧問契約解除になることも。。。

もしも、顧問契約している税理士事務所が比較的規模が大きくて担当者が税理士じゃない人で、上記事項に当てはまるのであれば、いきなり契約解除しなくてもいいと思いますが、担当者の変更は申し出ましょう。

ちゃらんぽらんな人に自社の財務や税金のことを任せるわけにはいきません。

ちなみに相談事項の中には税理士でも即答できないこともあります。

法律で明確に規定されておらず、通達や判例などを深く調べる必要があるものはお時間をいただいて調べたり自分なりの理論構築を行う必要があります。

この手のものはネットで調べても出てくるものではないので、専門書を調べたり、場合によっては同業者に相談したりします。

当事務所の場合には全国800名以上の税理士が所属して相互に質問し回答しあう有料の会に加入しており、自分で調べてもどうしても分からないものや、自分で調べて理論構築したものの、それで問題ないかどうか確認したい際に活用しています。

スピーディーに回答できても、肝心の回答内容が間違っていては意味がありませんし専門家として失格ですから、ここはお金をかけても担保するようにしています。