12月18日のWBSでは「”従業員シェア”で雇用を守る」というミニ特集が組まれていました。

コロナに伴う航空需要の激減により日本航空(JAL)の2021年3月期の決算では最終損益が最大2,700億円もの赤字になる見込みです。

そんな非常に厳しい状況ではありますが、一時帰休や整理解雇は全く考えておらず、雇用を維持する方針です。

かと言って国際線はほぼ機能していませんし、国内線の業務もかなり少なくなっており、雇用を維持しようにも「やってもらう仕事そのものが無い」のが現状です。

そこで、開始したのがタイトルにある”従業員シェア”です。

要は出向ということですが、その出向先の一つが企業のアンケート調査などを請け負うコールセンターを運営する某企業です。

本来なら客室業務員として働いていた方々がコールセンターで電話対応をしています。

JAL側としては雇用を維持できると同時に電話対応を通じたコミュニケーション能力の向上が図られ、受け入れ企業側では客室乗務員の対応スキルを間近で学べることができるというWin-Winの関係と言えます。

またそれ以外にも様々な企業に出向を受け入れられているそうですが、面白いのは福岡空港に勤務する地上スタッフが宗像大社さまで巫女さんをするなんていう事例もあったりします。

JALだけでなくANAも出向を行うということですので、特に航空業界の”従業員シェア”は今後も増えていくことが予想されます。

さて、この出向というのはあくまでもJALやANAといった出向元の企業に籍を残しつつ、出向先の企業(や神社)で働くという制度になりますが、こうやって出向先を確保できるのはある程度規模の大きな企業に限られると思われます。

中小零細企業がコロナの影響などで仕事が激減し、雇用を維持するのが難しいからといって「”従業員シェア”で受け入れてください!」と言っても受け入れ先を見つけるのは難しいことでしょう。

となると中小零細企業にとっての従業員シェアとは自社だけでなく他の会社とも雇用契約を結ぶ社員がいるという状態になっていくのではないでしょうか?

最近では「複業」という表現もよく見聞きしますが、それはフリーランスで色んな収入源を持つということだけでなく、色んな企業に従業員として所属し給与収入を得るという意味での「複業」ということにもなっていくのかもしれません。

「1つの会社だけに所属していては何かあった時に一気に収入がなくなるから、リスク分散のために複業しよう」

そんなことが当たり前の時代はもう目の前に迫っているのかもしれません。