12月3日放送のカンブリア宮殿では「コメダ珈琲店」を取り上げていました。

コメダは昨年全国47都道府県制覇を達成したそうですが、その躍進の原動力が店舗数の97%を占めるフランチャイズにあるといいます。

基本的にフランチャイズのチェーン店では全国どこのお店に行っても同じサービスが受けられるシステムが構築されていますが、コメダの場合にはお店ごとに全く異なるサービスを提供するという「個店戦略」がとられています。

例えば東京・渋谷にある渋谷道玄坂上店では1人客が多いことから、1人用の席を多く設け、全席にコンセントを設置、そしてWi-Fi環境を整えるなどノマドワーカー仕様の店舗となっています。

片や熊本県にある熊本菊池店では地元客のために月に1度駐車場で「コメダde朝市」という朝市を開催し、人気パン店が出店したり、地元の採れたて野菜を激安価格で販売したりしています。

さらに同店では夜にデザートセットにプラス500円することで気軽に参加できる英会話講座なども開催していますが、これらの取り組みにより地域のコミュニティとなる作戦で客数を20%もアップさせています。

この振り幅はなかなかのものですね。

他の喫茶店やカフェのチェーン店でここまでお店によって異なることをやっているところはないでしょう。

コメダの現在の社長は過去に日本マクドナルド最高執行責任者やセガの社長などを経験し2013年にコメダの社長に就任したいわゆる「プロ経営者」である臼井興胤(おきたね)氏です。

臼井氏は就任後、まずは現状を知るために徹底して各地の店舗を視察しますが、そこで目にしたのは「高齢化する常連客」「少ない若者」という実情であり、このままでは将来先細りするという危機意識を持ちます。

そこで、大改革として新規客開拓のための全店一律キャンペーンを打ち出しますが、そこで待っていたのはフランチャイズオーナーからの大反発でした。

かつていたマクドナルドではあり得ない展開。

加盟店なら本部からの指示に従うのは当たり前。

そんな常識を思いっきりひっくり返す独立精神に心底驚きます。

しかしそこで各店舗の独立性を大事にしつつ本部は売上があがるようにサポートをするというスタンスに方針転換します。

そしてさすが「プロ経営者」、各店舗の独自性+本部によるアイデアという組み合わせでお客に選ばれるコーヒー店という地位を築き上げることに成功したのです。

さて、番組後半で、そのように躍進することができた秘訣として臼井氏がこんな興味深いことをおっしゃっていました。

「全員がサラリーマンだったら実現しにくいと思います。うちの場合は一人一人が独立経営者ですから。」

「昨日まで従業員だった人が独立して次の日に会ったことがあるが、『昨日までと何か変わった?』と聞いたら『昨日まで気にならなかった扉の傷が今日からは気になるようになりました』と返ってきました」

「オーナーとはそういうものだと気付きました」

私はフランチャイズに加盟することを否定するつもりはありませんが、もしも「有名会社のフランチャイズに加盟して本部の言うことに従っていればなんとかいくだろう」という考えでフランチャイズオーナーになろうという人がいたら「そんなに甘くないですよ」と言いたいです。

特に会社経営をしたことがなく、脱サラしてそのような考えでフランチャイズオーナーになってしまうと、形としては一国一城の主ですが、実態としては経営者とは言えません。

結果として売上が思うようにあがらなかったとしても「立地が悪い」「本部が悪い」と文句を言うだけとなってしまいます。

ちょっとおかしな表現になってしまいますが、いかに経営者として「経営者マインド」を持てるか?

逆に言うと「経営者マインド」を持てない経営者は「経営者であって経営者に非ず」ということになります。

「真の経営者」になる覚悟、ありますか?