前回みずほフィナンシャルグループが週休3日・4日制を導入するというニュースについてお伝えしましたが、今度はANA(全日本空輸)が他社との雇用契約もOKという形で副業を大幅拡大する方針というニュースが報じられました。

これは我が国における副業の在り方としてかなり画期的な話ではないでしょうか。

今までは会社員が副業するという場合には基本的に税務的に事業所得、不動産所得、雑所得に該当するような、要は他の会社に雇われない稼ぎ方という範囲でのものが認められていました。

それが今回はかなり踏み込んで他の会社と雇用契約を結んでOKとなったわけですから画期的です。

もちろんANAの場合、背景にあるのはコロナ禍による航空需要の激減です。

2020年度第1四半期決算で1,088億円もの赤字を計上し、役員報酬や管理職の給与は削減、夏のボーナス支給額は半減、さらに冬のボーナスはゼロとなる見込みで、一般社員の年収は3割以上も減少するそうです。

おそらく航空需要はすぐには回復しないでしょうから、「今後しばらくダウンする収入を他の会社で働くことで各々カバーしてください」ということなんでしょう。

さて、このように他社との雇用契約という形の副業もOKというのが今後色んな会社に広まっていくことによって世の中、どう変化していくのでしょうか?

今まで以上に個人のスペックが問われることになるのではないでしょうか?

大企業で働いている人が必ずしもスペックが高いとは言いませんが、しかし、スペックが高い、要は優秀な人材が多いはずです。

そういった人を大企業の給与水準で中小企業が雇用するのは難しいですが、例えば週2日勤務であればそれなりの給与で済むので、可能と言えば可能です。

そしていざ働いてもらったところ、中小企業の社員が全く持っていないようなITスキル、コミュニケーションスキル、プレゼンスキル、業務改善スキル、交渉スキル、ファシリテーションスキル、接客スキルなどを持っていて超優秀だったとします。

ちょっと例として挙げるには癖が強すぎではありますが、半沢直樹が中小企業で働いてくれるイメージです(悪事を働いて倍返しされないようにご注意ください)。

そうすると当然社長としては「あれ、うちの社員案外使えないんだな。大企業で働いている人がこんなに優秀なんだったら副業でいいからもっとうちで働いてもらいたいな」ということになってしまうでしょう。

中小企業にも優秀な人材はいるでしょうが、

週5で働くあまりパッとしない社員<週2の副業で働く超優秀な社員

となる場合、パッとしない社員は副業で働く超優秀な人に取って代わられる可能性が大です。

もちろん副業ということはずっとそのまま会社にいてくれるという保証はなく、ANAの場合、航空需要が回復すれば「本業に専念するので退職します。お世話になりました」と去られてしまうリスクはあります。

まぁでも普通の感覚ならやっぱり優秀な人の方を取りますよね。

ほんのちょっと前まではどの業界も人手不足の「超売り手市場」でしたが、そのために「う~ん、あまりパッとしないけど他に人がいないから仕方ない。この人を雇うか」という選択がされていたことでしょう。

しかしそこに甘えて自己研鑽を怠ってきた人は、この流れの中で淘汰される運命にあると言えます。

自分でビジネスをしていても、会社勤めをしていてもこれからはある意味「個人のスペック」が求められる時代です。

あなたは自分のスペック向上のための努力をしていますか?