最近やたらとお金のことを話題にしていますが、それには意味があります。

「お金儲けは悪いこと」

「お金持ちは悪いことをやっている」

「お金のことを話すのは意地汚い」

などといった価値観を持った人が世の中結構いるもので、特に経営者がこの価値観を持っているとビジネスはかなり厳しいものとなってしまいます。

ビジネスというのは

「価値と価値の交換」

ですから、

提供している商品、サービスにそれだけの価値があるのであれば、それに相応しいお金をいただくべきです。

いろんな業界にいわゆる「相場価格」というものは存在しますが、別にあなたが扱う商品、サービスを相場価格で提供しなければならないという決まりはありません。

相場価格が1万円だとしても、自分が提供している価値が5万円なのであれば堂々と5万円請求すれば良いのです。

ここで

「いや、でも相場価格は1万円なのに5万円も請求しちゃったら相手に申し訳ない」

と思う人は、それは相手のことを思っているようで、実は

「相場価格は1万円なのにその5倍の5万円も請求するなんて、お金に汚い人間だと思われるから嫌だ」

と、「自分が嫌われるのを避けようとしているだけ」です。

確かに世の中、「いいものを1円でも安く」で業績を伸ばしている企業も沢山あります。

各種牛丼チェーン、ユニクロなどのファストファッションブランド、ニトリの家具などなど。

これらの企業は弛まぬ経営努力により低価格でもしっかりと利益が出るようにデザインされていますし、また多店舗展開により利益を積み上げています。

中小零細企業がこれらの企業の真似をしようとしても無理があります。

中小零細企業には中小零細企業の価格戦略が必要なのです。

上記のような大企業が扱わない、または扱えないニッチな分野をフォローするような商品・サービスで勝負をして、そのぶんしかるべき対価をいただく。

それこそ過去戦略マーケティング・ブートキャンプで高田先生が何十回おっしゃったか分からないぐらいの「超セオリー」と言えます。

しかし頭では理解できても、足を踏み出せない原因は「お金に対する悪いイメージ」です。

現在ドラマ『半沢直樹』が大ヒットしています。

私も毎週欠かさず観ていますが面白いですよね。

このドラマで半沢直樹が倍返しするのは大抵「金の亡者」です。

前半のクライマックスでは黒幕の三笠副頭取が不正な手段で私腹を肥やしていたことが明るみとなって成敗されてしまいます。

それまで主人公に対して憎たらしい態度を取っていた人物が実はお金の亡者であり、成敗される様を見て溜飲を下げる。

これは『水戸黄門』の「越後屋、お主も悪よのぅ」にも通じるある意味日本人のDNAに刻み込まれたパターンと言えなくもありません。

こうして「お金持ちは悪いことをしている」という価値観を持ってしまうと、いざ自分でビジネスをする際に

「お金、お金って言うと自分も『水戸黄門』の越後屋や、『半沢直樹』の三笠副頭取みたいに思われてしまう」

と思ってしまいブレーキをかけてしまいます。

まずはお金に対する変な価値観をリセットすること。

もしかすると起業する際に最初にやるべきことは戦略やマーケティングを学ぶことよりもこの「お金に対する変な価値観のリセット」なのかもしれません。