アパレル大手のレナウンが5月15日に東京地裁から民事再生手続きを開始するとの決定を受けたと発表しました。

負債総額は約138億円。

倒産ではないので「新型コロナウィルス関連倒産」の件数にはカウントされませんが、新型コロナウィルスの感染拡大以降、国内の上場企業が経営破綻するのは初のケースとなります。

レナウンは1902年創業の100年企業です。

私はファッションについてあまり詳しくないのですが、レナウンのダーバンというブランドは一応知っています(知っているレベルですが)。

高度経済成長とバブル経済という超追い風に乗って世界最大規模のアパレル企業にまで成長したレナウンですが、新型コロナウィルスの猛威にはどうすることもできず無念の民事再生法適用となったのでした・・・。

と言いたいところですが、必ずしもコロナウィルスが原因で経営破綻したとは言えない裏側があります。

そもそもレナウンは2019年12月期の決算で67億円の損失を計上し、2期連続の最終赤字に陥っていました。

実はレナウンは今でも、バブル期に売りまくっていた時と同じく販売チャネルのほとんどが百貨店となっています。

バブル期はまだまだ百貨店で服が売れる時代でしたので、それで良かったと思いますが、今は百貨店で服が売れない時代です。

にも関わらずネット販売などのチャネル開拓は全く進んでおらず、そこにきてコロナウィルスの影響でほぼ唯一の販売チャネルである百貨店が営業自粛したことにより、全く売上があがらくなってトドメを刺されたという形となります。

確かに今回コロナウィルスが引き金になったという部分がありますが、仮にコロナショックが発生しなかったとしても、遅かれ早かれ経営に行き詰まっていたのではないかと予想されます。

別に私は評論家でもなんでもありませんので、「だからレナウンはダメだったんだよ」と言うつもりはありません。

それよりもこのケースを単に「せっかくの100年企業がコロナウィルスのせいで経営破綻するなんてかわいそうに」で片付けるのではなく、それだけの企業でも時代に合わせた業態転換をしていかなければダメになってしまうという生きた教訓にするべきでしょう。

百貨店でめちゃくちゃ売れたという成功体験をどう手放して、新しい販売チャネルを開拓するか?

昔からのユーザーにしか訴求できなくなったブランドをどう刷新するか?

ユニクロなどのファストファッションとどう差別化を図るのか?

など、経営者にとっては失敗事例として学ぶべき部分が多々あります。

良いところは徹底的に真似し、悪いところは他山の石として同じ轍を踏まないように気をつける。

そうやってコロナに負けない組織を作っていきましょう。