今回ご紹介するのは経営コンサルタント・和仁達也さんがお金について分かりやすく解説した『世界一受けたいお金の授業』となります。

元々は品川女子学院(高校)にて行われた「ビジネスと生活で使えるお金の授業」という特別講座をベースとしており、高校生でも理解できるような分かりやすい内容となっています。

ではそういう高校生や学生向けの内容かと言うとそんなことはなく、社会人にも十分に学び多き内容となっています。

著者の和仁さんは経営コンサルタントとして企業のコンサルもされていますが、そこで活用されているのが本書でも取り上げられている「お金のブロックパズル」です。

個人の家計でも企業でも収入と支出のバランスが「収入>支出」となっていればお金が貯まりますが、「収入<支出」となっているとお金が貯まらないどころか借金をしないと資金繰りが破綻してしまいます。

特に企業の場合は取引形態が多様化しており、会計ソフトで表される利益と手元のお金が一致せず、「なぜうちは税理士先生が儲かっているという割には手元にお金がないんだ?」となりがちです。

私もそうですし、多くの税理士がその理由について何とか分かりやすく説明して理解してもらおうとしているのですが、やはり経営者の側に最低限の知識がないと理解するのは難しくなってしまいます。

挙げ句は「利益出て税金かかるって言うけど、うちにはお金がないから税金なんて払えないよ。税金払わないようになんとかしてくれるのが税理士の仕事でしょ?そのために顧問料払ってるんだから頼むよ!」「(頼むよって言われても何にもできないんですけど・・・)」なんていうやり取りがきっと今この瞬間にもどこかで行われていることでしょう。

また、昔からよく「給料の3倍稼げ」と言われますが、最近の若い人は「給料以上に働くなんて意味わかんない。3倍稼げって言うんだったらそのぶん給料も3倍にならないとおかしいでしょ」という反応をするらしいです。

これに対して「今どきの若いものは・・・」と嘆くのではなく、「なぜ給料の3倍稼がなくてはいけないのか?」を論理的に説明できますか?

これもきちんと数字を理解することで論理的に説明することが可能です。

過去に何度も言及していますが(コチラ)、「俺は数字が苦手だから」と言い訳をして経営数値に向き合わない経営者が多すぎます。

実は私、数字を扱う仕事をしていますが、学生時代「数学」は苦手でしたし大嫌いでした。

しかし、本書に出てくるものも含めて多くの数値は「四則演算」、つまり「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」で求められるものです。

これ、要は「数学」じゃなくて、小学校レベルの「算数」です。

いくらなんでも「算数」ができない経営者はいませんよね?

別に微分積分などの数学を勉強しろとは言いません。算数が分かればいいんです。

どんなに商品開発や営業という「攻め」の部分が強くても、資金繰りなどの「守り」の部分が弱ければ事業を継続することは難しくなってしまいます。

「数字のことは全部顧問税理士にお任せ」というのは経営者としての責任を放棄した姿勢と言えます。

現在コロナショックにより厳しい経営状況となっている企業が多いと思いますが、こういう時こそ数字に強いことが求められます。

今だからこそ、本書を読んで最低限の知識をインプットしませんか?