先日「有事の際に慌てないように手元にキャッシュを残すには」(コチラ)という記事を書きましたが、結構反響がありましたので、今回少し深堀りしてみたいと思います。
まずは前回の復習になりますが、現在のような有事の際には何はともあれ手元にキャッシュを確保することが重要なポイントとなります。
手元にキャッシュがあれば活動自粛、緊急事態宣言などの影響で売上が激減しても何とか事業を継続させることができます。
そのための方法として、
1.会社に残す
2.個人に残す
3.保険などの商品の形で残す
という3つの方法があるとご紹介しました。
この際のポイントは法人税なり所得税なりの税金を支払った後に残る利益や可処分所得がその原資になるという点です。
つまり手元にキャッシュを残すためには税金の支払いは不可避ということになります。
まぁ「税金を支払うの大好き!」という方も少ないでしょうから、この税金を支払うというのが手元にお金を残すための第一の関門となります。
ここで脱税をするという裏ルートの選択は当然にNGですが、歯を食いしばって税金を支払ったとしてもその先に第二の関門があります。
それは「手元にお金があるとつい使ってしまう」というものです。
「そんな、子供じゃあるまいし」と思われるかもしれませんが、「預り金的性質」と言われる消費税が税金の中でも滞納額がダントツの1位であることからも、「手元にお金があるとつい自由に使ってしまう」という経営者は非常に多いと言えるわけです。
なので、実は「2.個人に残す」というのは結構難易度の高い話と言えます。
理想としては役員報酬として個人に移転した部分のうち一定額を貯金して、今回のような有事の際に会社の資金繰りがピンチになったタイミングですぐに貸し付ける仕組みを作るべきでしょう。
しかし、会社から個人口座にキャッシュが移転されると「これは自分のお金」という意識を持ってしまい、そのようにプールしておくことができる経営者はごく少数です。
う~ん、そうなるとこの第二の関門は結構手強いと言えるでしょう。
突破する方法はないのでしょうか?
それが「3.保険などの商品の形で残す」です。
要は「プールでき、しかも簡単に手をつけられないもの」にキャッシュを移すということです。
・保険料が口座から強制的に引き落としとなり、そんなに簡単には解約ができない。
・資産性のある商品であれば簿外資産を形成することができ、場合によっては減額、解約、契約者貸付制度の活用などにより手元にキャッシュを確保することができる
・損金性のある商品であれば節税效果も得られる
・経営者に万が一のことがあった場合には保険金が入るため事業を継続するにしても会社を畳むにしても必要な資金を確保することができる
という様々なメリットがあります。
別に私は保険が万能だとは思っていませんし、「利益が出ているのであればドンドン保険に加入しましょう!」と言うつもりもありません。
とにかくこういう選択肢もあるということを理解した上で、自分がどのようなスタイルであれば無理なくキャッシュを確保できるのかを考えて実践していただきたいと思います。
まずは今回のコロナショックが一刻も早く収束することを願うところですが、しかし残念なことにこのような騒動・金融危機というのは今後もきっと定期的に発生します。
そのときに慌てず騒がず、余裕をもった資金繰りができるように、今からできることを1つでもやってみませんか?