今回のコロナウイルス騒動に限らず、リーマンショックでもバブル崩壊による大不況のときでも、その影響により売上が減少することも怖いことですが、何よりも怖いのが手元のキャッシュが無くなることです。

とにかくキャッシュが無いと事業の支払いもできなくなりますし、生活もできなくなってしまいます。

ですので、現在資金繰りに窮している経営者、または今後そうなることが見込まれる経営者は、ぜひ早急に日本政策公庫や銀行などに相談し、コロナウイルス対策の融資制度の活用を検討しましょう。

さて、たまに「わざわざ黒字にして税金を支払う意味ってあるの?」と質問されることがあります。

そのように質問される方は大抵家族経営に近い小規模な会社で金融機関からの借り入れもない経営者だったりすることが多いです。

要は「別に決算書を銀行に提出することもないし、赤字にしても困らないよね」という話なのですが、わざわざ黒字にして税金を支払う意味というのが、今回のような不測の事態に備えるためということになります。

キャッシュを残そうと思ったら税金を支払わなくてはなりません。

会社を経営しているのであれば、会社に利益を残して税引き後の利益を積んでいく(内部留保する)ことで、手元にキャッシュを残すことができます。

または会社にはあまり利益を残さずにガッツリと役員報酬を取ることで、個人の手元にキャッシュを残すこともできます。

当然会社に利益を残せば法人税を、役員報酬として取れば所得税を納めることとなります。

もちろん節税方法というのも色々ありますから、納税額を少なくすることは可能でしょうが、基本的な考え方として税金を払うことなく手元にキャッシュを残すことは難しいのです。

※もちろん脱税は論外です。

なお、節税の王道として生命保険の活用というのもありますが、資産形成効果のある商品を上手に活用すれば、手元のキャッシュ(現預金)ではありませんが、簿外資産を形成することができます。

実際、今回のコロナウイルス騒動で売上が激減した方が、保険を解約したり契約者貸付制度を利用することで資金繰りを賄ったという話も聞きますから、亡くなった時の保険としての機能だけでなく、お金の面での保険としても活用を検討すべきでしょう。

ということで、キャッシュを残す方法として

1.会社に残す

2.個人に残す

3.保険などの商品の形で残す

という3つの選択肢を提示しましたが、実際にはこれらをバランス良く組み合わせるべきでしょう。

間違っても決算が近づき、予想以上に利益が残っているからと言って「税金で持っていかれるのは勿体ないからすすきのに通って接待交際費をいっぱい計上して利益を無くそう!」なんてことはやってはいけません。

それで税金が減ったとしても、税金が減る以上に手元のキャッシュが減ってしまいます。

おそらくこういう思考回路の経営者が今回のような有事の際にまっさきに会社を潰してしまうことでしょう。

騒動の真っただ中のタイミングでこういうことを言っても仕方ないかもしれませんが、まずはこの大変な時期をしっかりと乗り切っていただき、一息ついたタイミングで、改めて有事の際に慌てないためにどのように手元にキャッシュを残していくのかを真剣に考えていただきたいと思います。