今回の新型コロナウィルスの経済に対するインパクトはもはや「騒動」を超えた「ショック」とも言うべきレベルとなってしまっています。

そんな中、このコロナショックにより売上が激減した企業が今年の4月に採用する予定だった学生に対して内定の取り消しをするということが問題となっています。

社労士的には内定取り消しが違法か否かという問題も気になるところではありますが、内定を取り消された学生さんには「入社してから解雇されるよりは良かった」とポジティブに捉えていただければと思います。

そしてこのことは、中小零細企業にとって良い人材を確保する絶好のチャンスと言えます。

もう遥か昔の話のようにも感じてしまいますが、今回のコロナショックが起こる前まではどんな業界でも「人手不足・人材不足」が問題となっていました。

「超売り手市場」のため、無名の中小零細企業が募集をかけても応募すら来ず、せっかく事業を拡大しようとしてもヒューマンリソースが不足しているというジレンマを抱えている企業が少なくありませんでした。

しかし今回のコロナショックにより、先程のような内定取り消しや、場合によってはリストラを行う企業も残念ながら増えていくことでしょう。

これは2008年に起こったリーマン・ショックの際にも見られた現象です。

このとき、多くの企業がリストラこそしないにしても採用を控えていたのに、逆張り思考で積極的に採用を行った企業もあります。

そのような企業はその後景気が回復し、周りが人手不足で嘆いている中、しっかりと人手を確保していたお陰で業績を伸ばしています。

もちろん、中長期的なスパンでの話になりますので、現状ある程度の体力のある企業でなければ難しい話かもしれませんが、肝心なのはどのように「ピンチをチャンスに変える」という発想を持つかという部分です。

実際にネットで調べると茨城県にある「茨城乳配」、愛知県にある「ユニー」、ちょっと変わったところでは名古屋・大須にある「万松寺」といったようなところが内定を取り消された学生を救うために緊急採用を行っています。

これは素晴らしい取り組みですし、このような取り組みをする企業は意図しなくとも世間からの評価も上がるというものです。

もちろん、世間の評価を上げるために無理をして採用を行ったことで業績が悪化した、というのは本末転倒ですが、ここで採用活動をどう展開していくのか経営者の器が問われるところです。