2019年夏にNHKで放送されていたドラマ『これは経費で落ちません!』。

それを半年以上経った今更ではありますが、ようやく録画していたものを全て視聴しました。遅っ!(笑)

やはりなんと言っても見逃せないのがタイトルの『これは経費で落ちません!』です。

税務・会計の現場でも経費が落とせるのか落とせないのかの判断は非常に重要な要素となります。

まぁとにかく番組はとっくに終わっているので本当に今更感が半端ありませんが、以下このドラマの概要です。

石鹸(せっけん)メーカーの経理部に勤めるアラサー独身女子・森若沙名子は、貸借対照表のごとく、「何事にもイーブンに生きる」をモットーに、回ってくる領収書や請求書をチェックする。それぞれの伝票には、金額や最低限の事由しか書かれていない。だが、よくよく精査すると、そこにはこの経費に関わった人々の怪しい事実や、はたまた悩める人生まで見えてくるー。

本当は「余計なものは追いたくない」、だけど「公私混同は見過ごせない」森若沙名子が、ヒラの経理女子として、大きな不正事件とまではいかないものの、様々な小ズルい者たちにどうアプローチし、いかにイーブンな関係にするのか?恋に奥手な経理女子と彼女が見つけるワケありの人間模様をコミカルに描く、新時代ならではのオフィスドラマ!

・・・ということで、もちろんそんなめちゃくちゃシリアスな内容のものではありませんし、なんなら胸キュン要素も結構あってキュン死するかと思いました(笑)。

ただ、やはり税理士の立場で観ても、非常に興味深い内容でした。

・会社の備品として本当に必要なのか微妙な備品を経費で落としていたけど実はプライベートで使っていた

・取引先からのキックバックの一部を横領していた

・外部デザイナーとの施設視察費用が公私混同かも?

といった不正(あるいは不正疑惑)について、他の人は気づかずにスルーしてしまうものも森若さんだけは「これは何か引っ掛かる」と気になり「ウサギを追うな」と言いつつ、調査しだします。

その結果実は・・・という展開なのですが、会社にとってこのようなチェック機能は非常に重要です。

我々税理士も毎月の監査の中で怪しい経費があれば「これはどういう内容ですか?」と確認しますが、やはりそれには限界があります。

もちろん領収書1枚1枚厳密に確認するということもできなくはありませんが、それは現実的ではありません。

その結果、税理士はスルーしたけど、税務調査で発覚して多額の追徴が課されるということもあるでしょう。

または税理士も税務調査もスルーしたけど、社員の公私混同や横領にずっと気づかないまま、なんてこともあるでしょう。

正直言って森若さんの働きは普通の経理社員のレベルを遥かに超えていますし、相手が誰であろうとズバッと言うので周りから煙たがられている面もあったりしますが、でもこういう存在って貴重ですよね。

私もクライアント先に森若さんのような経理の方がいれば、かなり心強いんだけどな~なんて思っちゃいました。

ちなみに舞台となる「天天コーポレーション」では経費精算書に領収書を添付して経理部に提出するというかなりアナログな運用がされています。

それに対して「非効率的だ!」とか「アウトソースした方が経費削減できる」という声も上がり、実際そういう面もあるでしょうが、そのことによる不正を監視するためにアナログな部分をあえて残すということも必要なのかもしれません。

デジタル化によって経理業務の効率化が図られたけど、その結果として不正も効率的に行われるようになった、なんて話になっては目も当てられないですからね。

ということで、色々と考えさせられたドラマでしたが、残念ながらとっくに終了しています(笑)。

気になる方はNHKオンデマンドで!

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