以前ご紹介した「目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】」(コチラ)があまりにも面白かったので、すぐにその続編である「全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】」も読んでみました。

本書は政治的・思想的な話がメインとなるので、政治家・官僚でない身としては「ふ~ん」という部分も多かったのですが、しかし今回も色々な気付きを得ることができました。

本書にはタイトルに【戦略編】とあるように、「アメ型成長戦略」と「ムチ型成長戦略」という二つの成長戦略について取り上げられています。

「アメ型成長戦略」とは、賃金の上昇を労働者に対するアメにして、国民経済全体を成長させようとするものとなります。

高度成長期の日本のように労働者不足だと労働組合の交渉力が強く、賃上げ圧力も強まります。

経営者としてはできればコストカットしたいものの、政府の規制も厳しく、簡単に解雇や賃下げできない。

であればコストカットではなく、イノベーションにより付加価値の高い製品を生み出し、生き残りを図ります。

その結果、利益が出ることとなりますが、そうするとまた賃上げ圧力が強まります。

という循環により、企業は利益を拡大し、労働者の給料は上がり、消費が増え、国全体として大きな消費需要が生まれる、というものです。

これに対して「ムチ型成長戦略」とは、解雇や賃下げの脅しを労働者に対するムチにして人件費を抑制し、企業がより稼げるようにすれば、経済は成長するだろうというものになります。

企業は国際競争力を強化するために、賃金は可能な限り抑制し、生産性の低い労働者は解雇できるようにし、効率化を徹底します。

その一方で投資家の発言力が高まれば「利益を投資家にもっと還元しろ」という要求に応じるために、利益を労働者の賃金ではなく投資家への配当に回すようになります。

「ムチ型成長戦略」では労働者の給料が上がり、消費が増え、消費需要が増えるという循環が発生しませんが、その分、海外市場の需要を取り込めばよいので企業は困らないということになります。

もうお分かりの通り、「ムチ型成長戦略」というのはデフレ圧力を発生させてしまいます。

そして現在の日本の多くの企業で行われているのがこのムチ型成長戦略です(解雇は簡単にはできませんが)。

デフレから脱却したい我が国においてせっせと行われているのがデフレ圧力を高める戦略だというのはなんとも皮肉な話です。

しかし、なぜそんな皮肉な話にも関わらず我が国においてムチ型成長戦略が採られているのかという背景については本書を読んで学んでみてください。

そしてなんといっても「MMT(現代貨幣理論)」がなぜ画期的な理論なのかという点についての解説をこそ、ぜひとも経済学者や政治家・官僚、そして経営者など「全国民」に読んで欲しいと思います。

私も本書を読んだだけの情報で「MMTこそが正しい!」「MMTこそが絶対!」と主張するつもりはありませんが、しかし異端視し、切り捨てるのではなく、議論する価値のある理論だと感じています。

本書にも書かれていますが、MMTは

「財政赤字を拡大してもよい」

「政府債務は増やしても問題ない」

という主張なので、ある意味まともな感覚を持ち合わせている人であれば「赤字を拡大しても大丈夫なんて本当?」「債務を増やしても問題ないなんて胡散臭い」という反応を引き起こしがちです。

しかしこれも本書を読めば(理論上は)正しいということが分かります。

平成の時代は「失われた30年」なんて言われていますが、私自身、社会人として「経済成長を遂げている日本」というのを見たことがありません(なんなら就職活動をしている時は「大氷河期」と言われていました)。

時代も令和に変わったことですし、いい加減「経済成長を遂げている日本」を見たいと思います。

本書で書かれていることは大きな話、マクロ的な話なので、読んだからといって何か具体的に実践できるというものではありませんが、それでもこのような情報を手に入れることによって、将来行われる国政選挙の際の意思表示の仕方も変わってくると思います。

ということで、まずは情報を仕入れるという意味でこの2冊を読んでみてはいかがでしょうか?

 

なお、本書の著者である中野剛志氏をお招きしての読書会&ミニ講演会が2月18日に開催となります。

会場は東京ですが、札幌でも私がサテライト開催をしてオンラインで参加します。

会場では全員で本書を読み、そして著者である中野氏に質問をすることができます。

ぜひこの機会に経済常識が180度変わる体験をしませんか?

≪『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』Expert Caffe≫

〇日時:2020年2月18日(火)19時~21時(開場:18時45分)

〇会場:寄りそうコンサルタントグループ

〇参加費:3,000円(当日会場にてお支払いください)

〇持ち物:『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』中野剛志著、筆記用具

※会場での書籍のお貸し出し、販売は行いませんので必ずお持ちください

〇詳細・申し込みについてはRead For Actionの公式サイト(コチラ)よりお願いします。