7月5日にマネーフォワード社の主催で行われた「士業サミット2019」に参加してきました。

「士業の未来は、日本の未来だ。」をテーマに、今後クラウド化やAI化により加速度的な変化が予想される未来において、士業としてどう活躍していくか、また、どのようにクライアントに貢献していくのかを、様々な税理士事務所の事例も交えながら情報発信された非常に有意義なイベントでした。

このブログでも過去何度も言ってきたように、税理士業務や社労士業務などの手続き業務のほとんどは、将来確実にAIによって自動化していくものとなります。

というかこれだけやれクラウドだ、AIだ、ブロックチェーンだ、となっている時代なんだから、いい加減、医療費控除や年金、住宅ローン控除、ふるさと納税程度の確定申告程度であれば自動的に手続きができるようになってもらいたいと切に思います。

それはさておき、このようなテクノロジーを活用することによって次の2つの論点が発生すると考えられます。

一つは「どうやって活用することによって業務の効率化を図るか」。

そしてもう一つは「業務の効率化を図ったことによってどのように別の視点でクライアントに貢献するか」。

前者は言うなれば我々の側の論点となります。

税理士業界の一人当たりの労働生産性は非常に低く、労働時間の割にはなかなか給与が上がらないという傾向があります。

特に顧問料の単価が低いと数多くの担当を持たないとそれなりの給与水準にならないのですが、当然数多くの担当を持てば長時間労働になりますし、また、1件当たりのサービスの質も悪くなってしまいます。

労働環境が悪い→職員を採用してもすぐに辞める→残った人の負担が増える→さらに労働環境が悪くなる→さらに辞める→・・・

という負のスパイラルに陥っている事務所もあることでしょう。

この状況をクラウド会計などのテクノロジーを活用することによって改善することができれば、労働環境も良くなり、採用もしやすくなりというスパイラルに転換できるかもしれません。

しかし、今回のサミットで注目したのはもう一つの「業務の効率化を図ったことによってどのように別の視点でクライアントに貢献するか」という点です。

「先生がクラウド会計の導入を薦めたから導入して確かに多少便利にはなったけど、それだけなの?」ということではあまり意味がありません。

やはりよく言われるように「AIに仕事が奪われても人間にしかできないこと」でどう貢献するのかを考える必要があります。

その点で、今回東京や地元札幌の税理士事務所の取り組み事例をいくつか知ることができましたが、どれも非常に良い刺激となりました。

どの事務所にも共通していたのが「税理士は税金や会計のことだけをやっていれば良いわけでなく、クライアントの事業の発展のために何ができるのかを考え行動する必要がある」という理念です。

これは私も常々思っていることでしたので、大いに共感しながらも、そのために自分ができることは何なのかを改めて考える良い機会となりました。

私の場合は一つの大きな軸は「学び」ですから、これは今まで同様、良質な学びの場をクライアントに提供することによって幸せな成功に貢献していきたいと思います。

そしてもう一つがクライアント同士を結び付けるマッチングです。

今も都度やってはいますが、クライアントのお困り事に対して別のクライアントが解決策を持っているのであればそこを結び付けることによって両方のクライアントがハッピーになるわけですから、これはもっと大々的にやっていきたいと思います。

半日に渡るイベントに参加して改めて痛感したのは「旧態依然の税理士事務所を運営していたら確実に淘汰される」ということです。

これはもう間違いない。

もちろん私はそんな事務所運営をしたいとはこれっぽっちも思っていませんが、こうやって時々同業者に良い刺激を受けながら、どうすればもっとクライアントに貢献できるかを追求していきたいと思います。