6月4日放送の『ガイアの夜明け』は「JALハワイ決戦!」というタイトルでハワイ路線を巡るJALとANAの熾烈な争いについて取り上げていました。

実は私はハワイに行ったことがないのですが、ハワイを訪れる日本人は年間150万人以上で、アメリカ人を除くと第一位なんだそうです。

そして、今こうして多くの日本人がハワイに行くことができるのは半世紀以上も前にJALが就航して以来、その観光需要の開拓を担ってきたからです。

ハワイと日本を結ぶ便の座席数シェアの3分の1を握り、ライバルANAに倍以上の大差をつけていますが、その牙城にANAが迫ろうとしています。

ANAは先月成田―ホノルル線に二階建ての大型機、”空飛ぶホテル”の異名を持つA380を投入し、シェアの逆転を狙っています。

そんなANAの攻勢への対抗策の1つとして番組が取り上げていたのが「ハワイ島の観光客を増やす仕掛け」です。

ハワイに行く日本人の9割がオアフ島を訪れますが、その一方で訪れる人数こそ少ないものの根強い人気を誇るのがハワイ島です。

しかし、そのハワイ島も昨年のキラウエア火山の大規模噴火の影響で観光客が激減しています。

現在、ハワイ島に毎日就航している国際はJALのみで、ライバルのANAは就航していないため、差別化を図るためにも大きな武器となる路線なのです。

なんとかこの武器を活かすためにもハワイ島を訪れる観光客を増やしたい!

そこで、JALグループの旅行会社「JALパック」の五明田さんが採った戦略が「ライバルとのタッグ」でした。

ライバルである業界大手のJTBと近畿日本ツーリストに声を掛け、3社で一緒にツアーを展開しようということですが、これは前代未聞のこと。

当然社内からは大反対の声が上がるのですが、「まずはハワイ島の魅力を多くの人に知ってもらいパイを広げることが大事!」と説き伏せたそうです。

ここ、大事なポイントと言えます。

市場が十分に大きいのであれば、その中でどれだけ自社がシェアを獲ることができるかにフォーカスしていいと思いますが、そもそも市場自体が小さいのであれば、その小さいパイを獲り合っても得るものが少なくなってしまいます。

そこで、まずはライバル同士タッグを組んで市場を拡大しましょう、というのは理屈では分かってもなかなか実行できることではありません。

最初乗り気だったJTBが途中で「やっぱりやめた」となったのはおそらく先日発表された150億もの過去最大の大赤字決算の影響があったからだと思われますが、「リスク(コスト)はうちが取る!」という五明田さんの男気ある交渉により最終的に三社の提携が実現します。

こういう話しって生きた事例になりますよね。

今回のケースは大企業同士の話しとなりますが、我々中小零細企業にとっても非常に学びとなる話しかと思います。

まずは市場を拡大するためにライバルとタッグを組むという選択ができるか?自社の利益だけでなく、ライバルのメリットも考えて交渉することができるか?

なかなか見応えがあり、考えさせられる内容でした。後編が楽しみです!