高田先生とセミナーやコンサルをご一緒していると、その都度かなりの確率で出てくるフレーズが

「その価格では安すぎます!○○さんが提供しているサービスには価値があるんですから、もっと高い価格設定にしましょう!」

というものです。

実はブートキャンプを受講される方の大半は具体的な商品を販売している方よりも、私のような士業や各種コンサルタント(マーケティング、コーチング、カウンセリング等)、デザイナー、エステティシャンなどの具体的な商品ではないサービスを提供している方の割合が高い傾向にあります。

具体的な商品、例えばスーパーやコンビニに行けば買えるような生活用品それ自体に付加価値をつけて競合他社よりも高い価格で販売するというのは難しいことかと思います。

仮に原価50円でスーパーで100円で売っているようなものを、同じような条件で200円で売ろうとしても、それは買ってくれる人もいないでしょう。

それに対して具体的な商品のない無形のサービスを提供している場合、こういった原価という概念が無いわけですから、そこに縛られずに自由に価格設定をすることが可能なはずです。

もちろん、こういった分野にも相場価格というものは存在します。

税理士に依頼するなら顧問料はだいたいこれぐらい。

カウンセリングをお願いするなら料金はだいたいこれぐらい。

エステに通うなら料金はだいたいこれぐらい。

 

で、ブートキャンプを受講される方の多くはこういった相場価格に近い価格設定をしていたり、あるいはそれよりも低い価格設定をしてしまっているので、髙田先生から「喝!」が入るわけです。

これは非常にもったいない話しです。

もちろん、例えば税理士でも試験に合格したばかりでろくに実務経験もなく(税理士登録するには一定の実務経験が必要ですが)、他に特技もないということであれば高い料金を頂戴するのは難しいでしょう。

でも、同じ税理士でも業界経験豊富、国税の裏側も知り尽くしていて調査対策もバッチリ、資金調達も強く、マーケティングにも長けていて、「その税理士にお願いすれば確実に売上がアップする」という存在なら相場より多少高くてもお願いするのではないでしょうか?(私もそんな存在になるべく精進しているところです)

 

高田先生が「喝!」を入れるのは、大抵その人に競合他社に勝てる強み、独自性があり、相場価格以上の価格設定をするにふさわしいと判断されたときです。

「同業他社が経験していないような経験をしている」

「その業界のパイオニア的な人に師事していたことがある」

「ニッチ市場でライバルが少ない」

そんな強みや独自性を持っているのではあれば相場価格に捉われないで、もっと高い価格設定しましょうよ、というわけです。

 

しかし!

そう言われて「なるほど!じゃあ今日からすぐ料金上げます!」となる人はごく少数です。

 

 

先程挙げた士業やコンサルタント、デザイナー、エステティシャンといった業種というのは「人」が商品と言えます。

仮に個人事業でスタッフも雇わないで1人で仕事をしているとすると、その人のキャパはある程度確定します。

エステティシャンで1日5人の施術をするのがMAXだとするとそれに単価をかけることで収入は決定します。

もしも価格が1万円ならどんなに頑張っても1日5万円しか稼げません(物販等は除く)。

しかし価格が3万円なら1日15万円になります。

スタッフを雇っても考え方は同じです。

単価が低ければ給料を払う原資も少なくなりますから、「忙しい割には給料が低い」と不満を持って辞める人も出てくることでしょう。

これは労働集約型産業のさだめとも言えます。

 

かの稲盛和夫さんは「値決めは経営」と断言されていますが、価格設定というのは特に中小零細企業こそ、もっと真剣に考えるべきです。

 

にも関わらず、なぜ「その価格では安すぎます!」と「喝!」を入れられても多くの人が価格を上げることができないのでしょうか?

 

ここにもパラダイム、すなわち「思考の枠」というものが大いに影響していると考えます。

いくつか理由はあると思いますが、大きく分けて次の2つとなります。

 

①相場価格が刷り込まれている

業界経験が長いと、大体の相場価格というのは肌感覚で理解できるようになります。

私もこの業界に身を置いて20年近くが経ちますが、そうすると大抵の業務は相談の段階で「だいたいこれぐらいの料金だな」とパッとイメージできます。

これはこれで便利なことなのですが、その一方で、その相場価格に縛られてしまうというデメリットもあります。

長年の経験で「これが当たり前」という考えになっているとそれを遥かに超える価格設定にするのは抵抗を感じたり、「髙田先生、うちの業界のこと、何にも分かってないからそんなこと言えるんだよ!」と思ってしまうかもしれません。

ただ、「業界の常識は世間の非常識、世間の常識は業界の非常識」という言葉もあるようにまずは「うちの業界ではそれが常識」という考え方を一旦手放してみてはいかがでしょうか?

少なくとも髙田先生はそれだけの価値があるとおっしゃっているわけですから。

 

②価格を上げると客がいなくなってしまう

高田先生の「喝!」が入って出てくる反応の多くはこれです。

「でも、価格上げたらお客さん減るじゃないですか」

確かに現在の価格で来てくれているお客さんの一定数は減るでしょう。

しかし、価格を上げることで今度はその価格にふさわしいお客さんが現れます。

先程のエステの話しでいけば、本来なら3万円いただけるようなサービスを提供しているのに1万円しかいただいていないということは過剰サービスをしている状態なのです。

3万円をいただくのにふさわしいサービスを提供しているのであれば、そこに価値を感じる人が必ずやってきます。

※もちろん、その価値を知ってもらうための情報発信などは必要です。また、「さすがにそれ以上価格を上げちゃうと本当に客がいなくなる」というラインの見定めも必要です。

 

それでも「やっぱり自分には無理!」となってしまう人は単に「自信が無い」のかもしれません。

アチーブメント社のセミナーでは「特にセールスに関して絶対に必要な4つの自信」として

・会社に対する自信

・商品に対する自信

・職業に対する自信

・自分に対する自信

があると学びますが、これは価格設定に関しても影響してきます。

自分に自信が無いと「価格を上げたら私なんか選ばれなくなる」と思い、思い切って価格を上げることができないのです。

または、相場価格よりも低い価格設定にしてしまうのです。

 

しかし、前回の「稼ぐことは悪いこと」という思い込みと同様この価格設定に関する制限的パラダイム(成功を妨げる思考の枠組み)も突破しなければ、どんなに戦略マーケティングの原理原則を学んでも実践されず、従って現実は何も変わりません。

 

もちろん、相場価格で競合他社とがっぷり四つになってレッドオーシャンで戦い続けることを選択してもいいでしょう。

しかし、せっかく何か素晴らしい強みや独自性を持っているのであれば、そこを突き抜けた一段も二段も上のステージで活躍してみませんか?

 

↑伊勢市にある猿田彦神社。「みちひらきの神様」なので何か新しいことを始める際に参拝したいものです。