7月28日~30日の3日間オンラインでWGI国際大会に参加しました。

WGIはWilliam Glasser Internationalの略で、選択理論心理学の提唱者である故ウィリアム・グラッサー博士により正式に承認され認可を受けている国際組織となります。

そのWGIが2年に一度開催している国際大会が今年は東京で開催されました。

この国際大会は組織、学校、家族などの場面における選択理論心理学の活用事例の発表、共有を目的としたものとなり、日本だけではなく海外での活用事例なども学べる貴重な3日間となりました。

本当に様々な分科会が行われ、学校教育の場での活用事例、家族(親子関係、夫婦関係など)での活用事例、クオリティ・コミュニティ形成での活用事例など様々な発表があったのですが、とりわけ興味深かったのはやはりビジネスの場での活用事例です。

選択理論心理学では「人は内発的動機づけによって自らの行動を選択する」と言っていますが、それに対して外的コントロール理論では「人は外からの刺激に反応して行動する」と考えられています。

そのため、ビジネスの現場では「契約を取るまで帰ってくるな!」とか「グズグズしないですぐコピー取ってこい!この役立たず!」みたいなマネジメントが幅を利かせていました。

しかし、こういったマネジメントは「パワハラ」と定義付けられ、パワハラ防止法により「もう外的コントロールは使うのはNGですよ」と法律で定められたと言えます。

そこでこれからの時代求められるのは選択理論心理学に基づいた「リード・マネジメント」となります。

ガミガミ言ったり文句を言ったりしないでも、社員が自発的に主体的にパフォーマンスを発揮してくれるリード・マネジメント。

今回の国際大会では実際に企業経営に選択理論を用いた実践事例を発表する分科会がありました。

企業経営に選択理論を導入する際、割りと以下のようなパターンになるということが分かりました。

①経営者が選択理論を知り、企業経営に取り入れようと考える

②まずは社員にメッセージをする際に所々選択理論のエッセンスを散りばめて、少しずつ慣らしていく

③幹部や選択理論にポジティブな反応を示した社員などと一緒に勉強会を行う

④本格的に社内全体に選択理論に基づいたマネジメント方法(リード・マネジメント)を取り入れる

ところがリード・マネジメントを導入しようとする際に3つの否定的な反応があります。

1つ目は「そうは言っても経営者自身がリード・マネジメントできるの?」というものです。

特に今まで外的コントロールに基づいたボス・マネジメントをしていた経営者なのであれば、学んだからと言ってすぐに100%リード・マネジメントに転換できるわけではありません。

時々、感情のままに怒鳴ったりしてしまうこともあるかもしれません。

しかし、トップが外的コントロールを使っていて、下の人間に「外的コントロールを使わないように」と言っても説得力がありません。

率先垂範、まずはトップが選択理論に生きるという覚悟が求められます。

2つ目は「外的コントロールを捨てたくない」という抵抗です。

社員の中でも管理職の部下をマネジメントする立場にいる者で、今まで外的コントロールを使ったマネジメントをしてきた人にとって、それを捨ててリード・マネジメントという一見すると時間のかかるマネジメント手法を使えと言われて、「そんな面倒なことは嫌だ。今まで通りのマネジメントをしたい」と抵抗することもよくあります。

ここで「お前は間違っている!会社の命令なんだからリード・マネジメントに変えろ!」と言うのはそれこそ相手を変えようとする外的コントロールとなりますので、粘り強く「なぜ外的コントロールがいけないのか、なぜリード・マネジメントが必要なのか」を説明していく必要があります。

分科会の中で発表された事例では、ここで「自分はどうしても外的コントロールを捨てたくない」ということで退職する人もいたという話でしたが、どんなに優秀な人材でも、こういう大事な部分で会社の方針と合わないのであれば袂を分かつ覚悟も求められます。

3つ目は「選択理論では『まずは願望を明確にしましょう』と言っているけど、それは『会社のことを好きになり、いっぱい仕事をしてください』ということなんじゃないの」というものです。

要はこう言ってはなんですが、「愛社精神に溢れる仕事人間」にするために選択理論を使って洗脳されるというイメージです。

リード・マネジメントが目指しているのは「プライベートを犠牲にして仕事に打ち込む」ということではなく、「ビジネスはサクセス、プライベートはハピネス」です。

ここも誤解のないように粘り強い話し合いが必要となります。

ということで、選択理論をベースとしたリード・マネジメントを導入するのは、「じゃあ今日からやります」と単純にできるものではなく、結構時間も労力もかかるものだということが事例から分かります。

しかし、実践した企業ではこれらの否定的な反応に一つ一つ時間をかけて真摯に対応したことにより、社内に選択理論が浸透しリード・マネジメントが当たり前になった結果、社員が自発的に仕事をするようになり、その結果として業績があがり、また職場の人間関係が良好になった結果、離職率が激減したといった成果を出されています。

いかがでしょう?

あなたの会社ではボス・マネジメントとリード・マネジメントのどちらが行われていますか?

今まではボス・マネジメントを行っていたけど、パワハラ防止法によりそれはやめた。でも社員に何も言えない放置状態になりパフォーマンスの低下が著しい、といったようなことになっていませんか?

成果を上げるリード・マネジメントを学んでみませんか?