回転寿司チェーン「スシロー」のおとり広告が問題になっています。

スシローは昨年9月にテレビCMで「濃厚うに包み」と「新物うに 鮨し人流3種盛り」などを盛んに宣伝していましたが、仕入れ不足から発売からわずか5日後には一時販売中止を決めていたのに、在庫を再確保するめどが立たない間も広告を続けました。

結果として「CMを見て店に行ったのに、いつも売り切れだった」という苦情がSNSで多く寄せられたことを受け、消費者庁と公正取引委員会が合同で調査をしたことで「おとり広告」だったことが発覚し、景品表示法違反による再発防止の措置命令を受けることとなりました。

中にはキャンペーンの初日から最終日まで一日も販売していなかった店舗もあったということで悪質な「おとり広告」だったと言われても仕方のないことでしょう。

「うにが110円で食べられる」と期待して食べに行った人にしてみては「騙された!もう二度と行かない!」ということにもなりかねませんので、安易に「おとり広告」を使ってしまうと、法律違反なだけでなく、ブランドイメージをかなり悪くしてしまうリスクがあります。

実際今回の件で、「もう二度とスシローには行かない!」となった人も多いのではないでしょうか?

さて、話は変わりまして事務所の近くに回らないお寿司屋さんがあるのですが、こちらにはランチタイム限定10貫1,000円(税込み)というメニューがあります。

新鮮なネタをリーズナブルな価格で楽しめるということで地元民からの人気も高いお店なのですが、11時30分にオープンして12時30分ぐらいにはシャリ切れでランチタイムが終了してしまいます。

私もたまに行くのですが、11時半を過ぎてから行くとすでに店内満席で待つことになるのでちょっと早めに行くようにしています。

それでも11時20分頃には行列ができていることも多く、多くの人に「早く行かないとシャリ切れになるから並んででも待つお店」と認識されているようです。

で、ネタはお任せなので提供が早く、1人で食べに行くと15分程度で食べ終わります。

結果として回転率が高く12時30分頃には3回転ぐらいして完売、ランチタイム終了となるわけです。

ランチタイムは確か13時までだったと思うのですが13時までお店が開いていることはほとんどありません。

そんなに早くシャリが切れてしまうのであれば、もっと多めに炊いて用意しておけばそのぶん売上もプラスになるのでは?と思ったりもするのですが、しかしここにポイントがあります。

「早く行かないと無くなってしまう」というのが結構強い来店動機になっているということです。

大将に確認したことがないので理由は分かりませんが、ランチタイムのシャリの量を少なくしているのには意図があるはずです。

もしかすると「希少性の原理」を活用しているのかもしれません。

この原理は「なかなか手に入らない希少性の高いものに人は価値を感じる」というもので、「すぐに売り切れてしまうぐらい人気があるのであればぜひとも食べたい!」という心理が働くことになります。

もしもシャリの量を増やしてランチタイムの時間帯いつ行っても食べることができるのであれば、「まぁいつでも食べられるし」ということで来店動機が弱くなり逆に売上が減るかもしれません。

今回のスシローの事例は法律違反でありアウトですが、あえて供給量を少なくすることで価値を高め購入したいと思わせるというのは立派な戦略と言えます。

そんなことを考えていたら、また例のお寿司屋さんに行きたくなってしまいました笑。