吉野家の常務取締役が不適切な発言をしたとして炎上しています。

今年の4月から早稲田大学の社会人向けのマーケティング講座(計29回、受講料38万5千円)が開催されているのですが、その初回授業の講師として登壇した際に不適切な発言をしてしまったそうです。

その内容ですが、自社の若者女性向けマーケティングを「気娘をシャブ漬け戦略」と発言し、「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を無垢・生娘な内に牛丼中毒にする。男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」とも話していたそうです。

・・・う~ん、そりゃあ炎上しますよね。

一応「不適切な表現で不愉快な思いをする方がいたら申し訳ない」と前置きはしていたようですので、ご自身も不適切な表現だという自覚はあったようですが、それにしても今の時代に珍しいぐらいド直球の「ザ・不適切な表現」と言えるでしょう。

言ってることはヤ○ザとかわらないですからね。

上場企業の役員の発言としてはあまりにも軽はずみなものだったと言わざるをえないでしょう。

吉野家はつい先日も「魁!!男塾」とコラボした「名前入り丼」の企画の対応を巡って炎上しており、会社の体質を疑われても仕方がない状況と言えます。

ただ、今回この件を取り上げたのは別に炎上についてや、性差別・人権問題について論じたいからではありません。

マーケティング戦略として考えると、この常務が言っていることは、表現方法は完全にアウトですし擁護するつもりはありませんが、結構重要なことです。

とりあえず「若い女の子」かどうかは脇に置いて、子供の頃から自社製品に触れる機会を設け、大人になりある程度自由にお金を使えるようになったタイミングで「子供の頃に使っていたあの商品を買おう」と思わせるある種の「刷り込み」というのはマーケティング、ブランディングの常套手段であり、多くの企業が行っていることです。

例えば食品メーカーなんかが開催する無料の「親子料理教室」のようなイベントというのは、そこでの楽しい思い出と自社商品をセットにして記憶してもらうことで、

「チーズと言えば○○」

「レトルトカレーと言えば☓☓」

「マヨネーズと言えば△△」

という形で「未来のお客様」を教育するという側面があります。

もちろん表立ってそんなことは言いませんが、「いかに若いうちから自社の商品・サービスのことを知ってもらうか」という観点でのマーケティング活動は山ほどあるわけです。

そういった戦略を「気娘をシャブ漬け戦略」と名付けたのは最悪ですが、こうやって自社の商品やサービスを真っ先に思い出してもらうようにする活動は「一番化戦略」と言えます。

大手企業は大金を投じて「一番化戦略」を行っています。

資金力に劣る中小零細企業がそれでも自社のことを真っ先に思い出してもらうようにするためには創意工夫が求められます。

ということで今回は吉野家の常務取締役の不適切発言から「一番化戦略」の重要性について語ってみましたが、不適切発言について肯定したり擁護したりする意図は全くありませんので、そこのところはよろしくお願いします。