今年の3月からスタートする新たなスーパー戦隊「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」(暴太郎と書いて「あばたろう」と読むそうです)で史上初の男性ピンクが誕生するというニュースを見ました。

スーパー戦隊シリーズは1970年代に始まった子ども向けの特撮ヒーロー番組で、古くは「ゴレンジャー」「デンジマン」「サンバルカン」が有名で実際私も「デンジマン」や「サンバルカン」を見ていた記憶がうっすらとあります。

これらのスーパー戦隊シリーズの特徴としてメンバーが変身する際に色分けされたスーツ姿になるというものがあります。

で、大体は「赤」がリーダー、「青」はクールなイケメンなど色とキャラクターが紐付いていたりします。

その中でも「ピンク」というのは女性メンバーのイメージカラーというのが今までの定番でした。

それが、今回の「ドンブラザーズ」では男性がピンクということでニュースに取り上げられたという経緯があります。

さて、私自身スーパー戦隊ものを見ていたのは遥か昔の話ですし、子どももいないので子どもと一緒に観るという機会もなく全然詳しくないので、スーパー戦隊シリーズについて語るのは控えたいと思うのですが、今回注目したのは「ピンク」に対する捉え方です。

1970年代にスタートしたスーパー戦隊シリーズではつい最近まで「女性と言えばピンク」「ピンクと言えば女性」という取り扱いでした。

また、スーパー戦隊に全く関係なく、我々にもなんとなくそのイメージはあるかと思います。

ここで森行生さんの著書『失敗から学ぶマーケティング』に非常に興味深い記述があります。

生活者調査のデータを見ると「一番好きな色」では女性のトップはピンクなのですが、それでも全体の2割とそんなに突出して高い数値ではありません。

にも関わらず「女性はピンクが好きだ」という前提に立って商品開発をしている事例が非常に多いのです。

例えば以下のような商品です。

・ボディカラーにピンクを採用した「ホンダ フィット She’s」

・ピンク色のノートPC「富士通 Floral kiss」

・ピンクのパッケージ「クロレッツ ピンクグレープフルーツミント」

・マンションのリノベーションでキッチン、玄関の壁紙、シャンデリアが全てピンク「リヴァック Rosa」

他にも沢山ありますが、この根底にあるのは「女性はピンク好きでしょ。女性向けの商品を作るのであればピンクにしておけば一定数売れるだろう」という先入観です。

森氏によるとピンクが女性らしい色とされるようになったのは、1953年に米アイゼンハワー大統領のファーストレディがピンクが好きだったからだそうです。

それを当時のメディアや小売店が後押しして、流行に仕立て上げました。

そして、次のケネディ大統領のファーストレディにもピンクが継承されて、「女性=ピンク」のイメージが定着したのです。

つまり、女性のピンク好きは70年にも満たない歴史の浅い文化であり、また、統計データを見てもそこまでピンク好きな女性というのは実は少数派だったりするわけです。

上記の商品が女性の支持を受けて売れたのか、さっぱり売れなかったのか分かりませんが、「思い込み」や「決めつけ」で商品を開発すると大コケするリスクがありますので、十分に注意する必要がありますね。