高級食パンを食べたことはありますでしょうか?

普通のパン屋さんで買うよりも数倍の値段がする「お高級な食パン」は2018年頃に流行り始めたのですが、最近は人気に翳りが見えてきたようです。

高級食パンというジャンルの草分け的存在は実はセブンイレブンで、1斤250円とやや高額でありながら、発売4ヶ月で1500万個を売り上げたことによって「高級食パン市場はいける!」となりました。

その後大阪の「乃が美」などの高級パン専門店が台頭。

これにより、「ちょっとした手土産や自分へのご褒美として専門店で高級食パンを買う」ということが浸透しはじめます。

そんな中、彗星の如く現れたのがベーカリープロデューサーの岸本拓也さんです。

この方がプロデュースするお店はインパクトのある店名が特徴的で、

「考えた人すごいわ」

「あせる王様」

「どんだけ自己中」

「乃木坂な妻たち」

「わがままなジュリエット」

など、一度聞いたら忘れられないものばかりです。

北海道にも何店舗かありますし、全国的にもかなりの店舗をプロデュースされているようです。

ということでここ数年で一気に高級食パンのお店が増えたわけですが、冒頭に書いた通り、ここ最近は人気に翳りが見えてきたようで閉店するお店が増えているそうです。

まだ一過性のブームだった、とは判断できませんが、それでもなぜこのように短期間で閉店に追い込まれてしまったのでしょうか?

理由は複数あるかと思いますが、最大の理由はやはりコロナ禍ではないかと思われます。

先ほど「ちょっとした手土産や自分へのご褒美として専門店で高級食パンを買う」と書きましたが、この「手土産として」という部分がコロナによってほぼ皆無になってしまいました。

つまりこれにより贈答用の需要が無くなってしまったわけですが、では自分でそんなに頻繁に食べるかと言われるとそうでもないかと思います。

仮に朝食はパン派で毎朝必ず食パンを食べるという家族がいたとして、毎朝高級食パンを食べるようなセレブはそうそういないでしょう。

おそらくは普段はスーパーやコンビニで買った普通の食パンを食べて、たまに贅沢で高級食パンを食べるというぐらいが関の山ではないでしょうか。

そう考えるとブームに乗り急速にお店が増えたことで需要と供給のバランスが崩れてしまったと言えます。

私は別に名前を出した岸本さんがダメだと批判する気は全くなく、プロデュースしたお店の中には経営が厳しくなっていた町のパン屋さんもあり、プロデュースしてもらったおかげで経営を立て直したお店も多いでしょうから、その手腕は素晴らしいものだと思います。

ただ、高級食パン市場は思っていたほど大きくはなかったということですから、今後単純に店舗を増やしていくというのはちょっと厳しいのではないでしょうか。

今後どのように立て直しを図っていくのか注目したいと思います。