「好きな日に働き、嫌いな仕事はしなくていい会社」

そう聞いてあなたはどう思いますか?

「いやいや、そんな都合のいい話があるわけないだろう」

普通ならそう思いそうなところですが、なんとそのような会社が実在します。

それは大阪にある「パプアニューギニア海産」。

その名の通り、パプアニューギニアから輸入した天然エビを工場でむきエビやエビフライなどに加工して販売する会社です。

こちらの会社ではパート従業員は「好きな日に連絡なしで出勤・欠勤できる」「嫌いな作業はやらなくてよい」という制度を導入しているのですが、結果として効率も品質も向上しているのだとか。

まず、好きな日に連絡なしで出勤・欠勤できる制度のことを「フリースケジュール」と呼んでいるそうですが、この制度はパート従業員の多くを占める働くお母さんにとって働きやすい職場環境を考えて導入されたものとなります。

子供が熱を出したり学校の用事があったりして急に休まなければならなくなっても事前の連絡は不要、というかむしろ事前に連絡するのは禁止とすることで気兼ねなく休むことができるようになっています。

もちろんそうなると、その日何人が出勤するのかは蓋を開けてみないと分かりません。

もし仮にほんの数人しか出勤しなかった場合には、その人たちが人数が少ない分をカバーしていつも以上に頑張る・・・のではなく、そもそもの仕事の量を調整することで対処しているそうです。

そしてもう一つの「嫌いな作業はやらなくてよい」の方ですが、こちらの会社では定期的に全パート従業員を対象に殻むきや袋詰めなどの作業毎の好き・嫌いの度合いについてのアンケートを取っています。

ここでのポイントでは「できる・できない」や「得意・不得意」ではなく、「好き・嫌い」という気持ちを表明するという点です。

そうやってアンケートを取ると各作業毎に好きな人・嫌いな人が明確になるので、嫌いな人は無理にその作業をせず、というかむしろ「やってはいけない」というルールを徹底し、好きな人がやるという形で作業分担をしています。

こちらの会社ではこれらの制度を導入する前はパート従業員同士の人間関係が悪く、また、従業員エンゲージメントも低かったそうです。

そのため、離職率も高かったのですが、この制度を導入後はパート従業員が「会社が大事にしてくれている」と感じるようになったことで従業員エンゲージメントが高まり、離職率は低下しました。

そうすると長く働く人が増えてスキルも高まっていきますので、結果として効率や品質も向上するという善循環のサイクルが回っているということになります。

ここ数年「従業員エンゲージメント」という概念にフォーカスされるようになってきたように感じますが、従業員が会社のことを信頼したり、会社のために貢献したいという気持ちを持っているかどうかはそのままパフォーマンスに直結します。

であれば、いかに従業員エンゲージメントを高めるための働きかけをするか?

今回取り上げたパプアニューギニア海産の2つの制度というのはもちろん全ての会社にそのまま導入できるものではありません。

しかし、「従業員に気持ちよく働いてもらい、それを商品やサービスの品質向上に繋げるために制度化できるものはないか?」という視点で、こういった制度を導入していくことは非常に重要なことだと思います。

あなたの会社でできることはありませんか?