税理士のお仕事シリーズ、今回取り上げるのは「資産税業務」です。

まず「資産税」という税金はありませんのでご注意ください。

「資産税」とは財産を取得したり持っていたり、売却することによって発生する利益に対して課税される税金を総称したものとなります。

具体的には相続税、贈与税、不動産を売却した際の譲渡所得税、固定資産税などの税金が該当します。

税金の話になりますのでこのシリーズの最初の頃にご紹介した「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」という独占業務の枠内の話にはなります。

それを今回別項目として取り上げたのは、資産税関係の業務は通常の顧問契約とは毛色が異なるからです。

固定資産税は別として相続税や贈与税、譲渡所得税というのは個人に課される税金です。

法人と顧問契約をする際の守備範囲は基本的には法人税、消費税、源泉所得税ぐらいなもので、個人に課される資産税は想定していません。

でも、顧問契約として長年お付き合いがあると、社長さんやそのご家族の資産税関係のご相談を受けることもよくあります。

・親が資産家で相続対策のために生前贈与を検討しているのでアドバイスして欲しい

・自分が資産家で相続対策のために配偶者や子供に生前贈与したいのでアドバイスして欲しい

・資産家の親が亡くなり相続税の申告が必要なのでお願いしたい

・親から相続した不動産を売却したので譲渡所得税の申告をお願いしたい など

時には顧問先以外からの単発のご相談・ご依頼もあることでしょう。

普段は会社勤めをしていて税理士とは無縁だったけど、相続をきっかけに税理士に依頼することになったという人も結構多いのではないでしょうか。

なお、規模の大きな税理士事務所であれば資産税専門の部門もあったりしますから、担当者がクライアントから資産税の相談を受けたら資産税部門に対応を任せるといった運用もできますが、規模の小さい事務所であれば担当者本人が対応するか、所内の資産税に強いスタッフにフォローしてもらうというのが一般的な形となります。

中にはうちは資産税に強くないので扱わないという事務所もありますし、逆に資産税に特化した事務所もあったりします。

私も過去に顧問税理士から「私は相続税の申告はできないので他の税理士を探してくれ」と言われて相談に来た、ということで相続税の申告業務を受託したことがあります。

まぁできないものをできると言ってめちゃくちゃな申告をしてお客様に迷惑をかけるぐらいなら、素直にできないと言うのもそれはそれでアリでしょう。

ということで、特化している事務所は別として一般的な事務所にとってはやや特殊業務となるのが資産税関係の業務となります。