税理士のお仕事シリーズ、今回取り上げるのは「節税対策」です。

経営者が我々税理士に求めることの上位にあがり、かつ、税理士に対する不満事項の上位にもあがるのがこの節税対策です。

「納める税金は1円でも少なくしたい」というのは経営者にとって切実な思いかと思いますが、まず我々としては節税と脱税を明確に区分する必要があります。

節税は合法なのでOK、脱税は違法なのでNG。

税金を1円でも少なくしたいという思いは十分に分かりますが脱税行為を認めるわけにはいきません。

経営者が「こういう風にすれば税金減るんじゃないの?」と言ってきてもそれが脱税行為なのであれば「それはダメです」と言うのも我々の仕事です。

その上できちんとした節税対策についても、そのスタンスは税理士によって異なります。

中には節税について否定的で「生命保険で節税?そんな訳の分からないものは俺は認めん」という税理士もいるとかいないとか…。

ただそういう税理士は別として、基本的に我々税理士はできるだけクライアントの納税額を少なくしてあげたいと考えています。

なのになぜ不満事項の上位にあがってしまうのでしょうか?

一つ大きな要因として節税に関する認識の違いというものが挙げられると思います。

経営者の中にはちょちょっと何か会計上の処理や作業を行うことで納税額を減らすことができると思っている人がいますが、そんなことで節税できるのであれば誰も苦労しません。

節税をするには「計画的かつ、実際にお金を使う」必要があるのです。

「節税」で検索していただければ分かると思いますが、王道的な方法として生命保険やセーフティ共済などの活用が挙げられます。

そしてこれらの制度を活用するということは手元のお金が(節税できる納税額以上に)減ることを意味します。

例えば100万円の税金を減らすために手元のお金を300万円程度使う必要がありますが、それでもやりますか?という話です。

また、計画的という点で言うと、(今はかなり縛りがかかってしまいましたが)全額経費で落とせる生命保険に加入したとして、解約返戻金が入ってくる際には逆に全額収入として受ける必要があります。

このドンと入ってくる収入に対応する経費が計上できなければ、結局このタイミングでガバっと税金を持っていかれることになりますので節税の意味がなくなってしまいます。

よってこういう仕組みをきちんと理解した上でどのような方法で節税するのかということを総合的に考える必要があるのですが、まずはクライアントにこの仕組みを理解していただかないことには我々も話を進めることができません。

ということで、実は節税というのは節税方法そのものというよりは納税者とその顧問税理士によるコミュニケーションや、それに基づく合意形成という点においてなかなか難しいテーマだと言えるでしょう。

最後に当事務所のスタンスですが、私は節税については肯定派であり、可能な限りクライアントの納税額を減らしてあげたいと思っています。

ただウルトラCの節税方法は存じ上げませんので、伝統的な節税方法を駆使して計画的な節税のアドバイスをさせていただいています。

サクッと簡単に税金を減らす、というよりも地味でも法律上全く問題のない方法を複数駆使することによって結果として納税額がかなり減った、というところを目指しています。

もちろん節税も大事なのですが、肝心の売上があがらなければそもそも節税という話になりませんので、まずは高田先生のコンサルを活用して売上をあげていただき、「このままだとガッツリ利益が出て税金が大変なことになるから節税対策しよう!」という順番でお手伝いするのが理想かなと思っています。