前回は「税理士のお仕事②」ということで、税務書類の作成・提出について解説しました。
今回はこのことについてもう少し深堀りしてみたいと思います。
そもそも税務書類って何?という話なので整理してみます。
まずはなんといっても各種申告書です。
会社であれば法人税の申告書、個人であれば所得税の申告書、そして消費税の納税義務があるのであれば消費税の申告書。
前回も少し触れましたがこれらの申告書を税理士の力を借りずに自分で作成するのはかなり大変です。
特に法人税の申告書は別表というものが何枚もあるのですが、こちらの別表に記載した数字を別の別表に転記したりするなど、書類をあっちこっちに行き来しながら作成する必要があるため、複雑な別表だと我々税理士でも調べながら作成しないといけないぐらいです。
また、法人税の申告書にはその他に勘定科目内訳書や事業概況説明書といった書類も添付する必要があり、何十枚ものボリュームになります。
これをきちんと整合性を保って作成する必要があるわけですが、とはいえ我々も手書きしろと言われると大変です。
そこで世の多くの税理士は専用のシステムを使っています。
有名どころですとTKCとなりますが、その他にも複数社がシステムを提供しています。
そして、このシステム使用料がそれなりの金額になります。
税理士が他の士業と圧倒的に異なる点としてこのような業務用のシステムの使用料が結構な額になることが挙げられます。
よって、月次の顧問料のうちのある程度の割合がシステムの使用料、つまり原価ということになります。
なお、システムを使っていれば大抵はその流れで電子申告を行うことになるかと思いますが、もしも自分で紙媒体で提出する場合、現在はマイナンバーカードや身分証明書のコピーの添付が必要となり、かなり面倒臭くなっています。
さらに、所得税の確定申告をする際の青色申告特別控除ですが、65万円満額の適用を受けるためには令和2年度分から電子申告が要件となりました。
自分でも電子申告はできなくもないですが、そのための設定がかなり煩雑で、普通にPCを操作できる人でもかなり苦戦したという話を良く聞きます。
税理士に任せてしまえばこういった煩雑さからは一切解放されますから、それだけでも我々が果たす役割は結構あると思うのですがどうでしょうか?
税務署類で次にメジャーなものが各種届出書です。
会社を設立した際の設立届に始まり、減価償却方法や棚卸方法の届け出、青色申告の承認申請など多岐に渡ります。
また、前回も強調しましたが、その届出内容によって納税額に影響を及ぼす消費税関係の届出書もあります。
一般的には顧問契約をすればこれらの届出書の作成・提出業務というのは料金に含まれているかと思いますが、もしも顧問税理士が別途料金が発生するタイプだったとしても自分で提出するのではなく、税理士に依頼することを強くお勧めします。
慎重に検討する必要がある消費税の届出もそうですし、減価償却の方法も定額法を選択するのか定率法を選択するのかによっても納税額に影響を及ぼしますので、素人考えで安易に提出するのではなく、きちんと税理士のアドバイスを受けるべきです。
さらに、たまに自分で提出する際に控えを作成しないで提出してしまう人がいるのですが、控えがないとどんな内容で提出したのかが分かりません(税務署に照会をかけることはできますが手間がかかります)。
また、税務以外の行政手続きの際に税務署の収受印が押印された控え(のコピー)の提出を求められることがありますが、控えを作成していないと提出できません。
ということで、届出書の作成・提出業務というのも税理士の基本業務であり、結構大事な業務なのです。
この他に我々が作成する税務書類としては毎年1月末日までに提出する必要がある法定調書と償却資産税の申告書というものがあります。
法定調書は税務署に、償却資産税の申告書は各市町村に提出するもので、一般的にはこれらの書類の作成・提出は別途料金がかかるというケースが多いと思います。
しかし、これらの書類の作成も自分でやるには手間がかかりますし、何よりもスケジュールがかなりタイトなので、お金をケチらずに我々にお任せいただくことをお勧めします。
以上、税務書類の作成・提出について解説しました。
このシリーズ、案外長くなりそうですが次回以降もお付き合いください。