私が所属する北海道税理士会では定期的に「税理士業務等に関するアンケート」というものが実施されています。

詳細はここでは書けませんが例えば税務調査に関する要望や意見、不満等について記載するものとなっており、アンケート結果について我々に開示されるものとなっています。

そんな中、今回のアンケートでは働き方改革に関する項目もあったのが特徴的でした。

コロナ禍となり全国的にテレワークが導入され、会社によっては「うちはテレワークでも全く支障をきたさないので、もうオフィスが無くてもいいのでは」なんて状態になっているのですが、では我々税理士業界はどんな状況なのでしょう?

「フレックスタイムやテレワークによる新しい働き方に関心はありますか?」

という設問に対しての回答は以下の通りとなっています。

1.既に導入している 23.4%

2.関心はあるし導入を検討している 23.4%

3.関心はあるが内容がわからない 23.0%

4.全く関心がない 30.2%

なんとあれだけテレワークが話題となったのに3割の税理士が「全く関心がない」と回答しています。

もちろん税理士の中には特に従業員を雇わずに自宅で1人で仕事をしているという人もいますので、そういう人にとってはテレワークなんてあまり関係のないことでしょう。

あとは結構多かった回答として「税理士法上の問題があるのでテレワークの導入は難しいのでは」というものがあります。

我々が扱う情報は収入などの非常にセンシティブなものなので、守秘義務という観点で慎重になるのもある程度は理解できます。

事務所内の目の届く所ではないところで情報漏えいしました、というのではシャレにならないですからね。

そんな中でも気になる意見が「顧問先から預かった紙の資料を職員が自宅に持ち帰ることによる紛失などが懸念されるのでテレワークの導入は難しい」というものです。

おや?これってテレワークうんぬんの話の前にデジタル化ができているかどうかの話ではないでしょうか?

私の場合、現在お客様から紙の資料を預かることはほぼありません。

請求書など確認したい書類がある場合にはチャットワークにPDFデータやスマホで撮影してもらった画像をアップしてもらっています。

これで全く問題無し。

これであれば情報漏えいの問題は別として紛失の心配はありません。

先程の設問、「3。関心はあるが内容がわからない」というのも現在テレワークを導入していないわけですから半数以上の税理士がテレワークを導入していないわけです(もっと言えば2も検討中ということですから実際の導入率は23%です)。

テレワークを導入していなくても、顧問先とのやり取りはデータでしているという事務所もあるでしょうから、それを加味しても世の中の税理士のうち少なく見積もっても4分の1、25%はいまだに顧問先とのやり取りを紙ベースで行なっていると推測されます。

まぁ顧問先もそれで全然OKということなら別にいいのですが、でもいまだに「FAXして欲しい」とか「郵送して欲しい」とか、その資料を預かるために職員がわざわざ顧問先を訪問したりするというのはやはり非効率だなと感じてしまいます。

また、顧問先自体がテレワークを導入し、オンラインで問題なく仕事をしているのに、顧問税理士とのやり取りはアナログオンリーというのは不便極まりないでしょう。

私は我々の仕事はデジタルとの相性がいいのでテレワークがかなり普及していると思いこんでいたので、このアンケート結果にビックリした次第です。

テレワークはコロナ禍によって慌ただしく導入が進んだという経緯がありますので、まだ色々と整備していく部分もあるとは思いますが、「無理だ」「うちの業界は特殊だ」と言って時代の変化に対応しなければ淘汰されてしまいます。

少なくとも私は時代の変化に対応し、事務所にとってもお客様にとっても便利なシステム・体制を構築し続ける事務所にしていこうと思います。