昨年末に俳優の伊原剛志さんが芸能事務所を退社し、独立した顛末についてのインタビュー記事をネットニュースで見る機会がありました。
最近では俳優だけでなく、お笑い芸人、アーティスト、モデルなどが事務所を退社し独立するという話題を良く見かけるようになりました。
独立する理由としてギャラの取り分や自分という商品をどれだけ売り込んでくれるかというプロモーション力などについて不満を持ったから、というものもあるようですが、伊原さんの場合はどうやら異なるようです。
記事には伊原さんのこんな発言が載っています。
”前の事務所には15年以上お世話になりましたけど、僕は小さい頃からずーっと自由を求めてきて、もっと自由になりたくなったんです。事務所という組織に所属していると、僕の言動で、組織や、所属するほかの役者さんらに迷惑をかけることもある。迷惑はかけたくない。でも、自由に発言したいし、やりたいことをやりたい。それによる全責任はもうとれるから。”
つまり伊原さんの場合は、自分はもっと自由にいろんな言動をしたいけど、事務所に所属しているとそれが事務所の見解という風に間違って捉えられると迷惑をかけることになるので、だったら独立しようというなかなか今までにないパターンとなります。
で、ここからが重要なポイントなのですが、実は伊原さんはまだ20代の頃から
”役者の仕事をお金のためにやりたくない。お金はビジネスで稼ごう”
という考えでお好み焼き屋を始め、その後フランチャイズ展開もし、全部で17店舗も経営していたのです。
そしてそのお好み焼き屋をあのたこ焼きチェーン「築地銀だこ」を運営する株式会社ホットランドに売却し、例えこれから何もしなくても死ぬまで暮らせるだけのお金を手に入れたそうです。
いや~、凄いやり手のビジネスマンですね!
しかもまだ20代の頃からそのような考えを持っていたというのも凄すぎます。
おそらく当時はまだまだ芸能活動をする人が実業を行うと「金儲け主義」とか「俳優業に専念しろ」とか色々と批判されるような時代だったでしょうし。
それにしても普通は「俳優業」をお金を稼ぐためのビジネスと捉えるところを、そう考えなかったという点が非常にユニークです。
ちょうど年末年始に西野亮廣さんの最新刊『ゴミ人間』を読んだのですが、お笑い芸人としてデビューしたものの、その後絵本作家にシフトし、現在では国内最大級のオンラインサロンを主宰し、さらには製作総指揮の『映画 えんとつ町のプペル』も絶賛公開中です。
西野さんもすでにお笑い芸人としての仕事はお金のためにやっておらず複数の収入源を持っています。
そして西野さんもまたテレビの世界から軸足を移す際には「芸人のくせに!」「芸人ならひな壇に出ろ!」「絵本なんて書いてる場合か!」と散々バッシングを浴びています。
しかし、コロナによりエンタメ業界が大打撃を受けた中、結局はこういった複数の収入源を持っている人が余裕を持って活動をできているという事実があります。
このことは別に芸能界、芸能人に限った話ではありません。
我々中小零細企業、個人事業でも同じことが言えます。
昨年何度も書きましたが、やはり収入源が複数あれば、どれか一つがダメになっても事業を継続することができます。
逆に言うと収入源が一つしかないと、何らかの要因によりその収入源が絶たれた瞬間、事業の継続が一気に厳しくなってしまいます。
もちろん中途半端にエネルギーを分散させてしまうと結果も中途半端なものになってしまうので、そこには戦略が必要となってくるのですが、いずれにしてもそういう発想がエンタメ業界の人はアリで、そうでない業界はナシという決まりはありません。
2021年は複数の収入源を持つということをテーマに取り組んでみませんか?