どの業界もコロナの影響と無縁でないと思いますが、スイーツ業界もコロナの影響を大きく受けています。

まず大きな変化の一つが、ビジネスシーンでリアル対面の機会が激減したことにより、都市部を中心に贈り物の需要が激減しています。

私はあまりこういった「ビジネス手土産」とは無縁なのですが、取引先へのご挨拶や出張先への差し入れなど「ビジネス手土産」という市場は結構な大きさで、

「できる秘書が選ぶビジネス手土産10選!」みたいな特集を見かけることもありました。

しかし、コロナにより、取引先との打ち合わせもリアル対面からオンラインへとシフトした結果、一気に需要が減ってしまいました。

その結果、「ビジネス手土産」を扱っていた菓子店は売上を大きく落としています。

その一方で、コロナにより売上を上げた菓子店もあります。

その代表格がシャトレーゼです。

外出自粛で小売・外食業界が大きな打撃を受けていた3月~5月において、前年対比で2~3割以上売上を伸ばしていた店舗もあったのだとか。

その要因の一つが立地です。

シャトレーゼの店舗の大半が郊外のロードサイド型です。

百貨店やショッピングモールの中にあると、その百貨店やショッピングモール自体が休業してしまうと、一緒に休業せざるを得ませんが、独立した店舗であればコロナ禍の中でも営業が可能となります。

なかなか出かけられないし、学校も休校になって子どもにもストレスが溜まりつつある中で、車で気軽に行けて、安価で美味しいスイーツを食べることができるということで多くの支持を受けて売上を伸ばしたという形となります。

もう一つ売上を伸ばしたのが「お取り寄せスイーツ」です。

コロナ禍で来店客が激減した飲食店の中にはこの機会にEC事業を始めて売上をカバーしたケースも多いのですが、スイーツでも同様に売上を伸ばしたお店があります。

日持ちしないものだと厳しいですが、そうでなければ今後も「お取り寄せスイーツ」というのは一つの大きな売上の柱に成長する可能性を秘めていると言えます。

最後に私も注目しているのが「体験型スイーツ」とでも言えるジャンルのものです。

名古屋・大須にある「和栗モンブラン専門店 栗りん(くりん)」では特殊な機械を使い目の前で極細のモンブランを絞り出す様子を見て楽しむことができます。

また香ばしい栗の香りのスモークを閉じ込め、ガラスの蓋を開けるとまずは香りとビジュアルで楽しめるという演出も。

これらはやはりリアルでそのお店に行かないと体験できません。

ちょっと前までは「インスタ映え」など写真としてどう写るかという点にフォーカスされていましたが、コロナ禍によってデジタル化が進み、ネットで簡単にお取り寄せができるようになる反面、このように「リアルに体験できる」ということに価値が生まれてきています。

イートインタイプのスイーツのお店は今後も席の間隔を空けるなどの対策が必要となり、客単価を上げないとペイしません。

ではどうやって客単価を上げるのかと言うと、この「栗りん」さんのように素敵な体験ができるという付加価値をオンするというのが一つの正解だと思われます。

「黄金モンブラン」というメニューはなんと1,800円!

シャトレーゼのモンブランが400円弱ですから約4.5倍です。

でもそれだけの価値があれば人が集まるということで、今年6月にオープンして現在連日大行列となっているそうです。

今後多くの業界でオンライン化が進み、「わざわざリアルで行かなくても、会わなくてもいい」という流れになっていくと思いますが、そんな中でリアルのビジネスをしていくのであれば、「わざわざ行きたい、会いに行きたい」と思ってもらえるような付加価値を考える必要があると言えます。

ウィズコロナ時代にリアルビジネスを続けていくというあなたは、どんな付加価値をつけてお客さんに来てもらいますか?