9月22日放送の『ガイアの夜明け』は「今なら会社買うでしょ?~コロナで急増する個人M&A」という非常に興味深いテーマでした。

M&Aと言えば「会社が会社を買収する」というイメージがありますが、近年ではタイトルにあるように「個人が会社を買収する」というケースが増えているそうです。

売る側の主な理由は「経営難」や「高齢化」などとなりますが、最近だとやはり「コロナ(に伴う経営難)」。

片や買う側の理由としては

「イチからやるより楽だから」

「夢を叶えるため」

「副業として」

など様々です。

一昔前まではM&Aの仲介会社は大手しかなく、また仲介手数料もかなりの高額となるため、個人が手を出せるような世界ではありませんでした。

しかし、例えば番組で取り上げられた「Batonz(バトンズ)」は「売り手は無料、買い手は成約金額の2%」というかなりリーズナブルな手数料となっており、かなりハードルが下がっています。

※ちなみにこのサービスを展開する株式会社バトンズはM&A仲介会社の国内最大手である株式会社日本M&Aセンターからスピンオフした会社となります。

現在コロナにより「会社を売りたい」という案件が増えており、かなり可能性のある分野と言えます。

番組では

「2児の母 元看護師がウェディングドレス店を買収」

「フリーターの20代カップルがタピオカ&クレープ店を買収」

「元旅行代理店のサラリーマンが学習塾を買収」

という3つの案件に密着していました。

3件とも会社経営の経験ゼロの人が会社を買い取り、奮闘する様が描かれていたのですが、買った直後にコロナショックが起こるなど様々な障害が発生し、一筋縄ではいきません。

それでも創意工夫をし、前進あるのみ・・・といった終わり方だったのですが、3件ともその後事業が軌道に乗っていることを祈るばかりです。

3件の中でも一番時間を使っていたのがウェディングドレス店で、こちらはコロナの影響で結婚式が中止・延期される中でも融資を受けて2店目を出店し、サイトをリニューアルするなどかなり積極的に行動している姿が印象的でした。

それが吉と出るか凶と出るかは分かりませんが、いずれにせよこうやって自分なりの仮説を立て、どんどん動ける人というのは結果的に成功するのではないかと思います。

さて、残念ながら番組では税理士の「ぜ」の字も出てきませんでしたが、こういう時こそ頼って欲しいのが我々税理士です。

例えばタピオカ&クレープ店は580万で買ったものの、最初に30万だけ支払い、月商100万ちょっとの中から毎月10万円ずつ分割して支払っていくという資金繰り的にかなり難易度の高い案件です。

ショッピングセンターの中のお店でスタッフも引き継いでいるので、家賃や人件費という固定費が結構なウェイトを占め、ちょっとでも売上が下がると一気に資金繰りが厳しくなります。

しっかりと事業計画を立てて、ちゃんとお金が回るのか?生活費を取れるのか?を考える必要があります。

前述の通り、仲介会社に対する手数料もリーズナブルになってきているので、個人でも会社を買いやすい環境になりましたが、それとビジネスが上手くいくかは全くの別問題です。

特に売り手の売る理由が「経営難」ということであれば、元々あまり上手くいっていなかったわけですから、仮に安く買えたとしても結局思うように売上があがらず「こんなハズじゃなかった」ということにもなりかねません。

「手数料が安くなって個人M&Aの市場が拡大したけど、それがキッカケで安易に起業し廃業する人が増えた」

というのは避けたいところ。

会社を経営したことがないのであれば、税理士との接点がないのがほとんどだとは思いますが、

「これで長年の夢が叶う!」

と勢いで買うのではなく、一度冷静になって我々税理士に相談して欲しいと思います。

※Batonzでは税理士も含めた支援専門家による有料のサポート制度があります。