去る7月17日に、元プロ野球コーチ・尾花高夫さんを講師にお迎えしてJPSA札幌支部特別講演会を開催しましたが多くの方にご来場いただき、大いに盛り上がりました。
尾花さんと言えば、現役時代は投手としてヤクルトスワローズで通算112勝を挙げ、その後コーチとしてヤクルトスワローズやダイエー・ソフトバンクホークスなど複数の球団でリーグ優勝7回、日本一4回を経験されています。
今回の講演会では、ご自身がどのようにプロの世界で100勝以上できる投手となることができたのか、また、指導者としてどのように選手を育成してきたのかをお話しいただきました。
尾花さんは社会人野球を経てドラフト4位でヤクルトに入団しましたが、プロに入って3日で先輩ピッチャーを見て「とてもじゃないけど、おれなんて通用しない・・・」と挫折します。
150キロの球をバンバン投げこむ先輩たち。そして何よりもそれだけのスピードがありながらも勝てない姿を見て、「140キロそこそこの自分なんて通用しない」と落ち込んでしまったわけです。
しかしそんな先輩の中でも特別スピードがあるわけでもないのに抜群のコントロールを持ち毎年10勝以上している安田猛選手に注目し、「自分が目指すのはこれだ!」とコントロールを磨くために投げに投げたそうです。
その結果、抜群のコントロールを身につけられ、現役時代一度も押し出しフォアボールをしたことがないという尾花さんただ一人だけの記録を持っています。
そうやって、現役時代、挫折を味わいながらも、どんな投手を目指すのかという目的を明確にし、そこからの逆算で目標を定め、計画を立て、そしてそれを実行するという成功の方程式を忠実に守ったことによって通算112勝もあげることができたのです。
そんな経験を持っているからこそ、コーチになっても、「この選手の素質を活かすにはどんな選手を目指せばいいのか?」というスタンスで選手に関わるようになります。
ここで生きてくるのが選択理論的な関わりです。
「俺はお前はこういうタイプの投手になるのがいいと思うから、つべこべ言わずにこのトレーニングメニューをやれ!」というものではなく、「どんな投手になりたいのか?」「そのためにどんなトレーニングをしたらいいのか?」を問いかけて、相手の自主性を大事にします。
でもいきなり「毎日200球投げ込みます!」となってしまうと逆に肩を壊す危険性もあるので、「だったらまず段階的に50球投げ込むことから始めてみたら?」と適度な負荷になるように調整してあげます。
こういう関わり方って会社の上司としてもとても素晴らしいと思いませんか?
この会社の中でどんな人材になりたいのか?そのためにどんなことに取り組むのか?その方向で合っているのか?負荷のかけ方は適切なのか?
そういったことを自分と同じ目線でフォローしてくれる上司がいたらめちゃくちゃありがたいと思います。
そう、これが講演会のタイトルにもある「部下がみるみる成果をつくりだす一流を育てる方程式」なのです。
残念ながら講演会に参加できなかった方にはぜひとも尾花さんの著書『部下がみるみる成果をつくりだす一流を育てる方程式』をお読みいただきたいと思います。