先日の『がっちりマンデー!!』は「V字回復とまではいかないけど、どん底からちょっとだけ復活している企業を調査!」というテーマでした。
一時期は業績好調だったものの、様々な要因で売上が激減。このままでは倒産の危機!という瀬戸際でも諦めずに色んな手を打ったことによってちょっとだけ復活した企業が紹介されていました。
そこで取り上げられていた一社がのど飴でお馴染みの龍角散です。
龍角散と言えば150年続く老舗企業で業績不振とは無縁なイメージがあったのですが、実は近年までどん底にあえいでいたそうです。
その理由は「時代の波に乗り遅れたこと」。
龍角散は知らない人はいない大ベストセラー商品です。
しかしそんな古い商品だけではダメだろうといくつか新商品を開発したものの、どれも鳴かず飛ばずでジリ貧に。
8代目である現社長・藤井隆太さんが35歳で社長に就任する際には売上高40億円に対して、借入金はなんと同額の40億円!
そんな危機的な状況の中、役員たちは「市場規模の大きい風邪薬や胃薬の分野に進出しよう」と言い出します。
それに対して藤井社長は「市場規模が大きいということは当然競合もたくさんいる。うちなんかはかなわない」と猛反対。
役員や番頭さんとはかなりバチバチやりあったそうです。
その代わりに藤井社長が決断したのが龍角散ブランドへの選択と集中です。
当時約半世紀にも渡って販売していた「クララ」という薬がありましたが、これを発売中止にします。
「クララ」は割と手堅く売れていた商品だったため、やはり役員は大反対。
藤井社長いわく「営業全員反対で涙ぐんでるおっさんもいましたよ」。
しかし、選択と集中という戦略をブラすことなく、クララをきっぱりと捨て、代わりに龍角散ブランドを投入します。
それまでの粉ではなく顆粒タイプの「龍角散ダイレクト」と「龍角散のど飴」ですが、これが大当たり!
※冒頭「のど飴でお馴染みの~」と書きましたが、実はこの時に開発されたものだったんですね。
龍角散ブランドの大ヒットにより、40億円あった借入金も完済します。
一番化戦略コンサルタントの髙田稔先生も常に「恐れずに絞りましょう!」とおっしゃっていますが、選択と集中という戦略は非常に重要だという好例ですね。
さらに、藤井社長、「喉の会社」として画期的な商品を提案します。
それがゼリーで薬を包んで飲みやすくする「らくらく服薬ゼリー」と「おくする飲めたね」です。
これに対してまたも役員は大反対。それでも「売れ残ったら自分が買い取るからやらせてくれ!」と強行突破。
役員は「それならおやりなさいな」という感じだったそうですが、結果としてこれらの商品も年間11億を売り上げるヒット商品になります。
まぁ、何かやると言ったら常に役員が反対、反対の大合唱の中でも、ブレずに信念を貫いたことがちょっと回復の秘訣なのかなと思った次第です。
これは以前にも取り上げたマルコメ会長にも相通じるところがありますが、やはり経営者たるもの周りが反対するからといって安易に方針転換をするような人には務まらないということなのでしょう。
ちなみにこのように周りが反対しようが断行する超トップダウンのやり方で自分が長く社長の座についていると人が育たなくなってしまうから、社長をやるにしてもあと5年程度で、そこでスパッと辞めるともおっしゃっていました。このような引き際の良さというのも大事なポイントですね。