以前「ハンコいる?いらない?」というタイトルで行政手続きにおけるハンコの是非について論じてみました(コチラ)。
というのも現在「デジタルファースト法案」という法整備により「オンライン原則処理による行政手続きの効率化」が図られているのですが、その中で会社の設立登記時の代表印の届出を不要にするという内容で印鑑業界が揺れているというWBS(いつもお世話になってます!)の特集を見て色々と思うところがあったからです。
そして、先日、その印鑑業界の反発を受けて、代表印の届出を不要にするという部分については先送りとなってしまいました。
う~ん、非常に残念なことです。
我が国の行政手続きは確定申告のオンライン化(電子申告)も含めて、多少整備されてきつつありますが、それでも紙ベースのものも沢山あります。
また、手続きとしてはオンラインでも、紙に押印したものをPDFデータ化し、それを添付しないといけないというむしろ逆に面倒臭い謎の手続きも存在したりします。
もうねぇ・・・平成も終わろうかという時代に、しかもスマホ決済だ、QRコード決済だ、ブロックチェーンだ、と言っているのにいまだに「紙の書類にハンコ」って何とかならないものかと思うわけです。
国もそう思っているので今回の「デジタルファースト法案」となったのですが、印鑑業界の反発というのは「既得権益を手放したくないから」というのがあからさまで非常に残念です。
我が国の行政手続きを効率化するための大袈裟に言えば「構造改革」を一部の業界の既得権益のために阻止されるということにはなって欲しくないところです。
もちろん行政手続きにハンコがいらなくなれば印鑑業界の売上は大打撃を受けてしまうことでしょう。
私は別に「印鑑業界は滅んでしまって構わない」と言うつもりはありません。
印鑑というのは日本独自の文化であり、この文化を切り捨ててしまうのは勿体ない話です。
印鑑発祥の地である中国では現在日本を追い越してデジタル化が進んでおり、印鑑登録制度もなく、会社の代表印などの概念もないそうですが、外国人観光客のお土産用に独自の進化を遂げているそうです。
そして、やはり我が国でも外国人観光客にとって印鑑は珍しい存在のため、お土産で買っていく人も多いそうです。
国として便利な方向に向かおうとするのに抵抗してしまうと業界全体の印章もとい印象が悪くなってしまうと思うんですよね。
それならいっそ潔くデジタルファースト法案を受け入れ、その上で「我々は日本独自の印鑑文化を残し、世界に発信していきたいので応援よろしくお願いします!」と支援をお願いすれば協力してくれる人って結構いるんじゃないかな~と思うのですが甘いですかね??
今回はたまたま印鑑業界を取り上げましたが、どんな業界でもこういうことって今後必ず発生すると思います。
我々税理士の業界でも「もうこの手続きはわざわざお金を払って税理士に依頼しなくても本人がオンラインで簡単に手続きできます(または自動的に行政がやってくれます)」というものが必ず出てくるはずです。
そのときに「いや、それは困る!」と反対しても、周りからは「いや、それは”我々の収入が減るので”困る!」という意味でしか見られませんし、支持されません。
時代の流れで変わらなければいけない・変わるべきときにいかに潔く受け入れるか。
そして、その代わりにどこで生き延びていくのかという思考が非常に大事だな、と感じた次第です。
皆さんの業界はいかがでしょうか?