神社の鳥居や社殿でよく見かけるねじれた縄。これを「注連縄(しめなわ)」と呼びます。

今回は注連縄の由来と意味についてご紹介したいと思います。

まず由来については諸説あるようなのですが、その中でも有力なのがかの有名な「天岩屋神話」にちなんだものです。

天照大御神がスサノオの横暴に嘆いて岩戸に隠れてしまうと世界は闇に包まれてしまいます。

そこで神々が知恵を絞り岩戸の前で盛大なお祭りを行うと、その楽しげな様子につられて顔を出した天照大御神を岩戸から引きずり出し世界は光を取り戻したというエピソードですが、このとき岩戸の前には、天照大御神が二度と隠れないように縄が張られました。

この縄こそが注連縄の由来ではないかという話です。

では現在の神社における注連縄の意味ですが、主に神聖な区域に張って外の穢れを中に入れないようにするためのもの、言わば結界のようなものとなります。

なので、境内で注連縄が張られている区域はそもそも神聖な場所である神社の中でも特に神聖な区域ということになりますので、勝手に中に入ってはいけないですし、中にあるものに触ってはいけないということになります。

例えば伊勢神宮の外宮(豊受大神宮)境内にある「三つ石」(正式には川原祓所)という石の周りには注連縄で結界が張られています。

当然中に入って石を触るのは御法度ですし、手をかざすのも好ましい行為ではありません。

しかし、パワースポットと紹介されていることから、「エネルギーをもらえるから」と手をかざす人が増えており、しかも場合によっては中に入って石を触る人もいるようです。

これ、百歩譲って何も知らない外国の方ならある意味仕方がないとも思えるのですが、日本人ならしっかりと注連縄の意味を理解して、「そのようなことをしないのが当たり前」というレベルでありたいものです。

そういう意味でも単に神社・パワースポットブームだからと乗っかるのではなく、最低限の知識は身に付けたいものですね。

注連縄の様式は多種多様なのですが、右側が太く左側に行くにつれて細くなる「右太左細」がスタンダードとなります。

また、注連縄には白いギザギザした紙が挟まれていますが、これは紙垂(しで)と呼び、注連縄同様、そこが神聖・清浄であることを示すものとなります。

また、スポーツの世界における注連縄と言えばなんといっても相撲です。

相撲は江戸時代に一大ブームとなりますが、その際に相撲行司の吉田司家が一部の大関に強豪の証として小さな注連縄を付けさせました。

すると、それを身に付けた力士には神霊が降りるとされ、人々からの尊敬を集めるようになりました。

この小さな注連縄の名称が「横綱」ということで、その後相撲における最高位の名称に使われるようになったという経緯があります。

ということで、神社を参拝する際には、注連縄が張られている区域は特に神聖な所であり、安易に入ったり触れたりしてはいけないということを忘れないようにしましょう。