神社で結婚式を挙げるいわゆる「神前結婚式」が増えているそうです。

確かに土日祝日に神社を参拝すると遭遇することも多いですし、おそらく皆さんも同じような経験をしているのではないでしょうか?

実際私の弟も北海道神宮で神前結婚式を行いましたし。

神社は古いものでは2000年以上も前から存在するわけですから、神前結婚式も遥か昔から執り行われてきたような感じもしますが、実は神前結婚式は歴史の浅いスタイルなのです。

古くからの日本の一般的な結婚式のスタイルは参加した人たちに結婚を認めてもらう「人前結婚式」でした。

しかも新郎の実家に両家の家族が集まり、新しい夫婦の誕生・門出を祝うというシンプルなものです。

それが平安時代に入り、現代の結婚式の原型のようなものが現れます。

男性が女性の家に3日3晩通うと、女性側の家族が「露顕(ところあらわし)」という儀式を行うものですが、これが新郎新婦を一族に披露する「披露宴」に相当します。

神社での結婚式は江戸時代にもわずかながら行われていたそうですが、一般に広まったのは明治時代後期のこととなります。

その契機となったのが、1900年に皇太子嘉仁親王(大正天皇)が行った神前結婚式です。

明治という新しい時代に皇族が行った新しいスタイルの結婚式を見た人たちが「私もあんな結婚式がしたい!」と思ったようですが、「機を見るに敏」をばかりにそのスタイルを取り入れたのが日比谷大神宮、現在の東京大神宮です。

皇室の結婚の儀を模した神前結婚式の進行や取り決めなど、具体的な枠組みを作って提供したところ、それが爆発的に全国に広まったという次第です。

東京大神宮は縁結びのパワースポットとして有名ですが、その理由の一つがこの「日本で初めて神前結婚式を行ったから」というものなのです(大正天皇の結婚式は宮中賢所で執り行われています)。

ちなみに東京大神宮の式次第は以下の通りです。

1.参進(さんしん)の儀~境内を歩いてご神前へ向かいます

2.修祓(しゅばつ)~新郎新婦及び参列者のお祓いをします

3.祝詞奏上(のりとそうじょう)~結婚のことを申し上げて、末永い幸福を祈ります

4.三献(さんこん)の儀~大中小の三つ重ねの杯に御神酒を注ぎ、新郎新婦が酌み交わします

5.豊栄舞(とよさかのまい)~4人の巫女が新郎新婦の門出を祝して舞を奉納します

6.誓詞(せいし)奏上~新郎新婦がご神前で誓いを立てます

7.玉串拝礼~玉串を奉納し拝礼します

8.指輪交換~西洋の習慣ですが、時代に合わせて取り入れられたそうです

9.豊寿舞(とよほぎのまい)~東京大神宮独自の舞

10.親族杯の儀~参列者全員で御神酒をいただきお開きとなります

 

戦後、キリスト教式が日本に入ってきて一気にブームになりましたが、近年では原点回帰で神前結婚式を行う人も増えているようですね。

という私は神社好きなんだから当然神前式だった・・・と言いたいところですが、当時はまだそこまで興味が無かったので、キリスト教式でした(笑)。

 

ちなみに、神前結婚式を行う方は、自分が式を挙げる神社の御祭神がどなたかぐらいはきちんと知っておきましょうね。