組織においてトップ層からの指示に対し「いや、自分はこっちの方がいいと思うので自己責任でやります!」という社員が現れたら、それをどう捉えればいいのでしょうか?

11月16日付けの北海道新聞朝刊に元陸上選手・為末大さんの「自己責任を考える」という意見記事が掲載されていましたが、これがなかなか考えさせられる内容でした。

為末さんによると、まず自己責任に関する行動は次の2つが伴うものだと定義されます。

①組織が強く推奨していないことや組織の戦略に従わない中での行動

②誰の指示もなく自らの意思で行った行動

組織には推奨される行動がある一方で、推奨されない行動というものもあります。

ここがきちんと徹底されている組織が全体の統制がとれた組織と言えます。

しかし、もしも先程の2つの要件に当てはまるような行動を誰かが取ったとして、それに対し何の対処もしなければ「あ、別に自由に行動しても咎められないんだ」ということで統制を失ってしまいます。

では、いついかなるときも組織の統制を乱すような行動をしてはいけないのか?

それに対する為末さんの見解は「自己責任を一定量、認めた方が組織にとって有益だ」というものです。

”組織の意思決定が正しくない、または昨今のように変化の激しい時代でいくら努力しても正しい答えを見つけるのが困難だという場合においては、自己責任を伴う行動を誰もしない組織は不利になる”

”常に組織の戦略に沿うことを繰り返していれば、そのうちにリスクの取り方が分からなくなる。つまり全体を逸脱して自分の意思で行動しなければならない時、過去に一度もそのような経験がなければ、過剰に恐怖心を抱き行動できない恐れがある”

実際に2015年のラグビーW杯の南アフリカ戦で日本は試合終了直前、選手たちが自らの意思でリスクはあっても逆転トライの可能性のあるスクラムを選択した結果、世紀の大金星に繋がったのは記憶に新しいところです。

さて、以上を踏まえて経営者の皆さんは社員に自己責任を一定量認めることをよしとできますでしょうか?

これはすなわちご自身が考えた戦略や計画に基づく指示に対して社員が従わないで行動することをよしとすることを意味します。

経営者は色んな情報を集めて戦略を練り、計画を立てますが、それが正しいとは限りません。

場合によっては現場で動く社員の考えることが正しいということもあるでしょう。

しかし、自分の立てた戦略や計画が間違っていた、とはなかなか認めたくないもの。

私も自分が練りに練った戦略や計画を「いや、それは違うと思うので自己責任でやらせてもらいます」と言われたら「なにー!!」となるかもしれません。

みなさんは組織と自己責任の関係についてどう考えますか?