去る6月19日に一般社団法人不動産相続支援協会主催の「不動産相続deハピネスセミナー」を開催しました。
毎月開催して今回が12回目となるのですが、今回は私が講師を務めました。
私が講師を務めるのは確か4回目になるのですが、今回は今までとは趣を変えて「相続に関する勘違いしやすい・間違いやすいポイント」について取り上げてみました。
私は税理士会などが主催する相談会の相談員となることも多いのですが、そうやって開業以来100人以上の方の相談を受けてきて、勘違いしやすいポイント、間違いやすいポイントはある程度パターン化できると感じています。
そこで、そんな多くの人が勘違いしやすいポイントや間違いやすいポイントを整理してお話ししたのですが、そうやって勘違いしてしまったり、間違ってしまったりするのには大きく2つの原因があると考えています。
1.情報の正しい・間違っているを判断するのが難しい
今の時代、情報は色んな形で入手することができます。特に「相続」というのは多くの人が関心を持っているテーマですので、雑誌やテレビなどで特集が組まれる機会が多いですし、インターネットで検索すれば沢山のサイトがヒットします。
しかし、その情報が正しいとは限りません。
実際私もネットを検索することがありますが、「えっ、これ何に基づいて書いたの!?」というようなサイトに出くわすことも多々あります。
素人が法律的な裏付けも無いままに持論を展開しているような内容でも、やはり素人が見るとそれが正しいものとして判断してしまいます。
また、書かれている内容は正しくても、すでに情報としては古い、ということもあり得ます。
特に税法の場合は頻繁に変わっていきますので、書かれた当時の法令に即した内容であっても、それを見た時にはすでに改正されていて現在の法令に即していないということもよくある話です。
これも専門家であれば「あ、これは古い情報だな」と判断できますが、素人がそのような判断をするのは難しいでしょう。
相談会の相談員として接する事例でも「このサイトにこう書いてあった」とわざわざプリントアウトしたものを持ってこられる方もいらっしゃるのですが、よくよく見ると「あ、これはもう改正で変わってますね」「え、そうなの!?」となるケースが非常に多いのです。
2.正しい情報に接したとしても正しく理解できるとは限らない
仮に仕入れた情報が正しいものだとしても、次の障害としてそれを正しく理解できるかどうかという問題が生じます。
例えば生命保険金。相続税では生命保険金について一定の金額については非課税枠が設けられています。
これには一定の要件があり、その要件をキチンと満たしているときに「500万円×法定相続人の数」を上限に非課税にできるという制度です。
しかし、例えば仮に生命保険に加入する際に保険の営業マンからキチンとこういった説明があったとしても「生命保険金には相続税はかからない(非課税)」と自分に都合のいいように解釈してしまうというケースをよく見ます。
それで「いや、保険会社の人に『生命保険金には相続税はかかりません』って言われましたけど」とおっしゃられて「いやいや、そうではなくて…」となるわけです。
特に「非課税」とか「申告しなくていい」といったような文言をかなり都合よく解釈してしまう傾向にあるなと感じています。
セミナーでは以上を踏まえて、他のメンバーである泉田司法書士や北澤弁護士から税金以外の部分のフォローもしてもらいながらお話をさせていただきました。
そして私が意図しているのは、そのようなポイントを学び、理解した上でご自身で相続対策を取っていただく、ということではなく、キチンと我々専門家にご相談いただきたいということです。
勘違いしている状態で対策を講じるのは危険なことですが、理解したからと言って素人が対策を講じるのはやはり危険なことです。
ぶっちゃけ私だって税金の専門家ではありますが、登記や遺言書などの司法書士や弁護士の業務範囲に関しては素人です。
もちろん隣接分野ですので最低限の知識はありますが、もしも我が家の相続対策をする際にそのレベルの知識で、自分で何とかしようとは全く思いません。間違いなく司法書士や弁護士という専門家の力を借りることでしょう。
特に相続については税法だけでなく、民法などの様々な法律が絡んできて税理士だけとか司法書士だけという形で一人の専門家だけが携わればOKというものではありません。
それを素人の方が自分で間違いなく対策したり諸々の手続きをしたりできる知識レベルになれたらそれはもうスーパーマンです。
で、そんなスーパーマンになれる人なんて極々一部の人だけでしょうから、それ以外の普通の人であれば、その分野毎の専門家の力を借りるのが一番です。
というようなことは、以前からずっと言い続けてきたことなのですが、今回のセミナーでは改めて少し強調してお話ししてみました。
本当に素人考えで「こんなハズじゃなかった!」ということにならないことを願うのみ。
素直に我々専門家を信じてご相談いただくのを願うのみです。
次回は7月17日(水)の開催となりますが、講師は司法書士・泉田陽介さんとなります。
「不動産相続と預貯金相続」というテーマでお話しいただきますが、この被相続人の預貯金の取り扱いもちょっと間違えると揉める要因となりますので、しっかりと事前に理解いただいた上で、やはり我々専門家にご相談いただけると幸いです。
≪不動産相続deハピネスセミナー Vol.13≫
日時:2018年7月17日(水)
セミナー 13時30分~14時30分 個別相談会 14時30分~15時30分(予約制・先着順)
会場:札幌市教育文化会館 3階研修室301(札幌市中央区北1条西13丁目)
参加費:無料
お問い合わせ:一般社団法人不動産相続支援協会事務局 電話011-206-4405(担当:山本)