政府が最低賃金の引き上げについて、2025年度には全国平均で時給1,000円以上を目指す目標を「新しい資本主義の実行計画」の工程に盛り込む方針です。

北海道の最低賃金はここ数年でかなり上昇しており、2017年には810円だったのが、その5年後の2021年には889円となっており、10%弱の上昇率となっています。

「全国平均」で時給1,000円以上を目指すということですので、北海道は時給1,000円にはならないかもしれませんが、仮に950円程度だとしても3年で7%程度の上昇率ということで、かなりの上昇率と言えます。

さて、最近「物価が上がっているな」と感じる場面が増えました。

ランチで入ったお店で、コンビニで弁当を買う際に、電気代のお知らせが来た際に、車の給油をする際に、様々な場面で値上がりを実感しています。

サラリーマンにしてみれば給料という収入が増えないのに物価ばかりが上がって支出が増えてしまうと生活が苦しくなってしまいます。

物価が上昇するのであればそれに合わせて給料も増えるようにしましょう、というのが今回の時給1,000円以上を目指すことが意図することであるのは間違いありません。

では給料を支払う企業の側はどうか?

支払う側にしてみれば収入、つまり売上が増えることなく時給がアップして支払う給料が増えるとそのぶん利益が減ります。

仮に給料が据え置きだとしても、企業も様々な経費が値上がりしている訳ですから、やはり売上が増えなければ利益が減ります。

じゃあ利益が減らないように、そのぶん売上を増やしましょう、値上げしましょうと言いたいところなのですが、日本人は長年物価が低いのに慣れているので、値上げに過敏になってしまっています。

現在利用している商品・サービスに特に不満がなくても値上げするのであればその商品・サービスを使うのをやめる。

そういう感覚の人が多いのです。

となると、企業の側も安易に値上げできません。

物価も上がっているし給料も上がっているので、その上がっている分を吸収するためにも値上げしたい。

でも値上げするとお客が離れて売上が減るリスクがあるので値上げできない。

結果として価格を据え置きして利益が減る。

会社を維持するために人員整理をする。

ということになってしまうと悪循環です。

政府としては良かれと思って最低賃金を引き上げようと思っているのに、その結果として失業者が増えるという事態になってしまえば本末転倒です。

やはり第一歩は「適正利益を確保できる価格で売る」ということではないでしょうか。

もしも値上げすると客が離れるということであれば、厳しい言い方になりますが、その程度の商品・サービスを扱っているということです。

差別化が難しい消費財を扱っているのであれば話は別ですが、それ以外の商品・サービスを扱っていて「低価格でないと売れない(買ってもらえない)」ということなのであれば、根本的にビジネスモデルを考え直す良い機会なのではないでしょうか?