5月17日放送のWBSで「飲料大手の株価が下落 背景に”日本の課題”」という話題がありました。
5月16日サントリーは10月1日出荷分から希望小売価格を値上げすることを発表しました。
値上げを発表した直後株価は上昇し年初来高値を付けました。
しかしその後下落し、その翌日も大幅に値を下げました。
しかも下落したのはサントリーだけではなく、同じく商品の値上げを発表していたキリンやアサヒといったような飲料メーカーも値を下げています。
その背景にある”日本の課題”として、国内では賃金の上昇が始まっていないため、消費者の抵抗感が強いという点が挙げられます。
そのため、値上げをすると価格の安いプライベートブランドに客が流れて、結局業績が悪化するのではないかという投資家の心理が反映されているというのです。
これはなかなか悩ましい問題です。
ここのところの原材料やエネルギー、輸送コストなどの諸々のコストが高騰しており、企業としてはその分を販売価格に上乗せしたいところです。
その一方で消費者の側はまだ給料がそんなに増えておらず、値上げを容認すると家計を圧迫してしまうため、安い代替品に鞍替えする。
そうなると企業は業績が悪化してしまうので賃上げをすることが難しくなってしまう。
そうすると給料が増えないので、消費者はますます値上げを嫌うようになる。
という悪循環に突入してしまいます。
よく言われているように日本の賃金はここ20年以上そんなに増えていませんが、物価もそんなに上がっていなかったのでなんとかなっていたという面があります。
100円ショップや激安店などもメジャーな存在となり、安くてそこそこの品質の商品があるという環境に慣れきってしまいました。
そのためちょっとした値上げにも敏感に反応するようになってしまったわけです。
私は常々インセンティブとしての賃上促進税制には意味がないと言ってきました。
つまり「税金を安くしてあげるから賃上げしてね」と言われたからといって賃上げする経営者はいないということです。
その一方で悪循環から脱するためにもまずは賃上げを実施する必要があります。
ただそのためには先立つものが必要となりますので、まずは稼ぐ必要があります。
ではどうやって売上をあげるか?
それを一緒に考えてくれる存在がご存知、一番化戦略コンサルタント・高田稔先生です。
今月もつい先日戦略マーケティング・ブートキャンプ&グループコンサルを開催しました。
これまで書いてきたように現在日本人は値上げを嫌う傾向にありますが、だからと言って値段の高い商品・サービスが売れないというわけではありません。
値段が高くても売れている商品・サービスは沢山あります。
そんな事例を教えていただきながら、どのように差別化した商品・サービスを開発するかという観点でアイデア出しをしました。
「値上げしたら選ばれなくなるから値上げできない」という発想だとジリ貧です。
売上が増えなければ給料を増やすことができません。
給料が据え置きだと、支出は増えているので従業員の家計は厳しくなります。
大切な従業員を守るためにもきちんと値上げして給料を増やしてあげることは経営者の責務だと思います。
ぜひそんな考え方で商品開発、値付けをしていただきたいと思います。