物価の上昇が止まりません。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響で原油価格が高騰しており、それが様々な商品に影響を及ぼしています。
「○○が4月から値上がり」というニュースを見る機会が増えました。
ガソリン価格も高止まりしています。
おそらくは今後も様々な商品の値上げは続くと思いますので、家計への影響も相当なものと思われます。
そしてそのことは、給料が同じままだと暮らし向きが悪くなるということを意味しています。
当然サラリーマンとしては給与アップを望むところでしょう。
では、経営者の立場として、この物価上昇を踏まえて賃金アップを行うということが簡単にできますでしょうか?
ニッセイ基礎研究所の試算によると、2022年度の消費者物価は2%の上昇が予想されるため、実質的な賃金がプラスになるためには賃上げ率が定期昇給込みで4%必要になるそうです。
仮に基本給30万円の社員がいるのであれば、単純計算で30万円×4%=12,000円の賃上げが必要となります。
当然給与が増えれば会社負担の社会保険料も増えますので年間で20万円程度負担が増えるという計算になります。
これ、可能でしょうか?
「うちは少ない利益でなんとかやりくりしているんだから、賃金上げろと言われても無理だよ!」という会社も多いことでしょう。
しかし、社員も生活がかかっているわけですから、この物価上昇に対して何も手を打ってくれない会社は見限られてしまうかもしれません。
あと講じられる手段としては副業の解禁ではないでしょうか?
「うちが賃上げするのは難しいけど、副業するのは認めるから、物価上昇分は副業で稼いでください」
これが会社としてベストな対応かどうかは分かりませんが、少なくとも「賃上げもしないし、副業も認めない」というよりはマシです。
私は岸田総理が「賃上げを促進するために税額軽減の優遇税制を整備する」とおっしゃったときに、「税金が減るということがインセンティブとなって賃上げが促進されることはない」という見解を述べました。
しかし、現状は税金が減るかどうかという次元の話ではなく、物価上昇が家計を直撃しているので収入を増やすことがサラリーマンにとって死活問題となりました。
ここで賃上げをできるのであれば、減税の恩恵を受ければ良いと思います。
ただ、減税目的で賃上げするのは目的と手段が逆となってしまいます。
財政的に賃上げが難しいのであれば、無理に賃上げをするのではなく、ただ、社員の家計のことを考えて最低でも副業を認めるという措置は必要になるかと思います。
ここでの判断を誤ると優秀な人材を失うことになりかねませんので、よく考えて対処いただきたいと思います。