「神社仏閣のお賽銭入金問題」をご存知でしょうか?
日々神社やお寺のお賽銭箱には多くのお賽銭が入りますが、現金で持っていてもかさばるので金融機関に預け入れを行うのが一般的です。
しかし数年前から銀行では大量の硬貨を入金する際には手数料がかかるようになりました。
大抵手数料は金額ではなく枚数に応じて計算されるのですが、お賽銭の場合1円玉や5円玉などが多く、仮に1円玉で200枚、200円を入金するために手数料が550円も発生したら大赤字です。
これだと入金すればするほど持ち出しになってしまいます。
そこで多くの神社やお寺は手数料がかからないゆうちょ銀行を利用するようになっていました。
しかし、その最後の砦であるゆうちょ銀行も2022年1月17日から手数料がかかるようになってしまいました。
50枚までは無料ですが、
51枚~100枚 550円
101枚~500枚 825円
501枚~1000枚 1,100円
以後500枚増えるごとに550円加算。
よって、仮に1円玉で200枚、200円を入金しようとすると825円も手数料がかかってしまうのです。
これはかなり深刻な問題です。
私はTwitterで神社の公式アカウントをフォローしているのですが、今年に入ってから「小銭を預け入れするのに手数料がかかるようになって困った!」という投稿を数多く見かけました。
そんな中、救世主とも言えるサービスの普及が進んでいるようです。
2月17日放送のWBSでは普及が進んでいる硬貨両替機「コインスター」を取り上げていました。
こちらは主にショッピングモールなどに設置されているようですが、両替機ですので紙幣に交換することができる機械となります。
さすがに無料というわけにはいかず手数料はかかりますが、この機械は枚数ではなく金額に応じて計算されるのがミソです。
手数料は総額に対して9.9%ということで、仮に1円玉で200枚、200円を両替する場合の手数料は
200円×9.9%=19.8円となります。
※紙幣、つまり1,000円に満たない両替ができるのかどうかは不明のため、一応理論上の数字となります。
このコインスターの秀逸な点はショッピングモールと提携している部分です。
というのも、この機械に硬貨を投入するとお金が出てくるのではなく引換券が出てきます。
この引換券をショッピングモールのレジに持っていくと現金と交換できますし、買い物をしたのであればその買い物にかかったお金に充当することもできます。
これは特に番組で言及されていたわけではないので私の想像ですが、おそらく買い物の料金に充当できるということで、せっかくだからちょっといいものを買っていこうかという心理になりやすいのではないかと思われます。
ブックオフに読み終わった本を持ち込んで買い取ってもらったあとで、せっかくだからそのお金で別の本を買おうか、となるのはよくある話だと思うのですが、それと同じような心理が働くというわけです。
実際にはもともと自分が持っているお金を両替しただけなので手元のお金は増えていませんし、なんなら手数料を払っているので1割程度減っているのですが、そうやって引換券に姿を変えると、ちょっとしたお買い物券みたいに見えるということで、これはなかなか上手い戦略です。
今後コインスターの設置数を4,500台まで拡大する計画のようですが、ショッピングモールとしてはこのことによる「ついで買い」効果が見込めるということでおそらく歓迎モードなのではないかと思われます。
金融機関にとっては大量の硬貨を取り扱うことは数えたりする手間がかかる面倒な業務なので無料ではやってられないという判断かと思います。
しかし、庶民にとっては
・預けていても大して利息はつかない
・下手すると引き出すときに手数料がかかる
・紙の通帳の発行手数料がかかる銀行もある
・預けるときにも手数料がかかる
ということでメリットよりもデメリットの方が多いと感じる人も増えているのではないでしょうか?
こうなると銀行離れが加速し、大げさでなく今後経営が立ち行かなくなる銀行も増えていくのではないかと思われます。